最終更新日 2022.08.12
とうもろこしを「試験的に」育てています。
1)鉢でも大きく育つか 2)古い早生のタネを盛夏にまくとどうなるか、の大きく2点を確認中。
現在、栽培しているのは「黒もちとうもろこし」。
黒もちとうもろこし とは
見た目が黒く、皮が厚いとうもろこし。イネ科。中国原生。
黄色や白色の、いわゆる「スイートコーン」とは、別もので、ファーストインプレッションとしては、甘味が少なく、食べづらい。ただ、触感がもちもちしていることと、噛めばかむほど、甘味を感じることができる。スイートコーンが流行る以前の、日本のトウモロコシと言えば、これだったそうな。へえ~
とうもろこし栽培のポイント
とうもろこしは、タネまきから育てても、比較的簡単に発芽させることが可能です。が、管理が適切でないと、その後、ひょろ苗になったり、果実が大きくなりません。また、害虫に大変狙われやすい野菜です。
受粉
とうもろこし栽培の難しさのひとつとして、受粉があげられます。雄穂と雌穂の出る時期がずれる点にあるんですね。これを解決するために、できれば、4本程度、同時にたねまきを始めることが望ましいです。
また、ハチなどに自然受粉をまかせてもいいですが、雄穂を切り取って、雌穂にふりかける人工授粉をやってみる価値はあります。後述の害虫対策にもなり、一石二鳥です。
追肥
畑で育てていても、実際、ひょろ苗にしか育たないことがありました。理由は複数あるかと思いますが、追肥のタイミングが一番大きいかもしれません。
追肥は、2回。
1回目は、草丈30センチほど(本葉5枚程度)のころ、化成肥料8-8-8を15g(おおさじ1杯ほど)与えて、中耕し、土になじませます。
また、このころは、まだ茎も細く、頼りないです。8-8-8でも十分ですが、わたしはこれに加えて、BM溶リンを大さじ1ほど投入(施肥量は研究中)。
2回目は、雄穂を見つけ次第、1回目と同量。時期的には前回から2週間後ほどでしょうか。
元肥えは、タネの養分があるので入れません。それ以外では、完熟牛ふんたい肥やもみ殻を少々入れてます。
害虫対策
アワノメイガによる、とうもろこしの茎および果実の食害は避けられません。対策はいくつか考えられます。
1)雄穂(ゆうすい)を隠す
ガは、雄穂を目指して飛んでくるようです。この雄穂を目隠しする方法として、周囲に防虫ネットを高く張り巡らせるか、物理的に切り取ってしまうかのどちらかがあります。もし、雄穂の中に幼虫をみつけた、あるいは、雄穂を食害されてしまった場合は、すぐに切り取って、袋に入れて捨てるなどします。
2)雌穂(しすい)を隠す
雄穂に引き寄せられたガが、卵を産みます。幼虫が茎を下の方へ食害しながら移動。雌穂にたどり着いて、どんどん果実を食べていきます。
そこで台所で使うゴミ受けネットで雌穂を覆っておくのも有効な方法のひとつらしいです。茎からいったん出てきて、雌穂に移動するんでしょうね。ただし、自然受粉か人工授粉が完了している必要がありますので、この方法は少々難ありに思います。
3)薬剤散布
ガが雄穂に飛来する前に、幼虫を駆除する農薬を散布しておく方法です。これは、専用の薬剤が販売されています。わたしが使っているのは「三明デナポン粒剤5(住友化学園芸)」。
上から見て、雄花が見えた時点で、とうもろこしの真上から、葉と茎の付け根部分に薬剤が貯まるように散布するのが特徴です。少量でも殺虫効果があるとされていますが、とにかく付け根に薬剤が貯まる部分があれば、すべてにかけていきます。
なお、薬剤散布は、1回目は雄穂が出た時、2回目は雌穂が出た時の2回行います。雄穂と雌穂の出るタイミングは、何日のタイムラグがあります。
今回紹介の殺虫剤「三明デナポン粒剤5」は、カーバメート系農薬で、速効性がありますが、効果は長続きしないと思われます。ハチへの影響がある場合は、特に取扱いに注意してください。
支柱による補強
田んぼを思い出していただくとわかると思いますが、イネ科は、台風・強風により、株が倒れやすい植物です。やはり、栽培数の多い方が、株同士で支え合うため、倒伏しにくくなります。
また、追肥次第で、根張りや茎の太さに影響し、株の丈夫さが決まりますので重要です。
さらに、ある程度、株がしっかりしてくると、株元付近から、脇芽が生えてきます。これも、近年は倒伏防止に役立つとされ、あえて脇芽を取らない栽培手法もみられます。
鉢植えでは、畑よりも、倒伏しやすい状況で、常に風の脅威にさらされることになります。そのため、わたしは支柱で補強するようにしています。ただ、葉茎はかなり繊細で、どんなに気をつけても、擦れたり、折れたりしています。
支柱より、風除けのため、防風ネットや防虫ネットで囲んだ方がいいかもしれません。
今回の試験的栽培
鉢でどこまで株を大きくできるか
とうもろこしは、過去に「畑」で栽培したことがありましたが、「鉢」では、のびのびと育たない気がして、敬遠していました。
広い土地で、大きな葉を伸ばし、大地に根を張り、立派な果実をならせる。そういうイメージがとうもろこしには、あります。
ところが、最近テレビ「やさいの時間」の深町先生が、プランターでとうもろこしを育てていらっしゃるのを確認!これが意外と、しっかり大きく育っていたのです。
よく考えれば、ぶどうやいちじくも、プランターで栽培中ですし、できないことはないんでしょう。
ただし、できるだけ大きな鉢を用意すること。根は扇形に広がると思うので、横幅がある方がいいように思います。また、受粉成功のため、1本より、2本3本とたくさん育てる方が、成功率が上がります。
早生の古いタネを7月に植えるとどうなるか
わたしの手元に残っていたタネは、2020年1月に加工販売された(生産年は2019年と思われる)商品。しかも早生種で、種まき適期は、4~5月。発芽率は期限内であれば75%のもの。普通に考えれば、タネとしては完全な期限切れで、発芽はかなり悪いはず。
実際の栽培記録
種まきはなんとか成功
6月末、1鉢に3粒まいて、1粒発芽。いや、よく発芽しましたね。。
本当は、別の鉢にもタネをまいて、複数株を栽培し、できれば、とうもろこしの収穫を狙いたかったんですが、空いている鉢がなく断念。今回は1本しか発芽してないので、最終的にはドライフラワーにして楽しめればいいかなと思ってます。
しかも、その貴重な1本も、他の植物(ニラ)の鉢で種まきしたので、混植状態です。これから根が旺盛に張ろうというのに、こんな悪条件で、どのぐらい大きくなるものでしょうか。
茎の太さは、発芽時点では、細めのストロー程度です。
生育後の茎の太さは想像以上に太い
現在、茎の太さは、指2本ほど。プランターで、がっしりとした茎が形成できれば、なかなかうまくいったのではないかと思います。
水に関しては、ほぼ毎日与えています。水はけのよい土です。
今年は、追肥のタイミングをしっかり守れているのが、結構、効いていると思います。過去に畑でひょろ苗に育ったときは、追肥の時期も量もいい加減でした。また根の先端に効かせるため、できるだけ根元から離して円状にまきます。丸い鉢なら、縁に沿ってまけばいいのでわかりやすいです。
背丈は低く葉数も少ない
反面、背丈がさほど伸びていないように思います。茎が伸びなければ、葉数も必然的に少なくなります。光合成ができないと、果実の出来も悪くなります。
早生種ということを考えれば、現在の気温は、生育適温から、とんでもなく高すぎることでしょう。株が十分に大きくなる前に、早く生殖成長へ移行してしまっているのではないかと思います。盛夏に、せっかく種まきするなら、中生(なかて)あるいは晩生(おくて)の品種を選びましょう。タネまき適期がいつかを確認するには、タネ袋の裏面を必ずご覧ください。
また、やはり、ニラが立派に育っている土に、根を伸ばす余裕もないことでしょう。土地が十分確保できない方や、家庭菜園初心者の方は、狭い範囲にできるだけたくさん植えようとしがちですが、小粒をたくさんよりも、できるだけ大きな野菜や果実を収穫したいですね。
今後の管理
2回目の農薬散布
雌穂を見つけたらすぐに農薬で害虫を防除します。
人工授粉
うちは今年、株が1本しかないので、恐らく授粉作業自体はかなわないと思います。複数本ある方は、雄穂の花が咲いているのを早朝に発見次第、人工授粉を行ってみてください。
追肥
固形肥の追肥はすでに終了しました。水やり計画に基づく液肥の散布は、他の鉢花と同様に与えています。