最終更新日 2023.02.25
2023年1月26日、高知市にある「牧野植物園」に行ってきました。
牧野植物園
朝ドラ主人公のモデルになった植物学者に縁ある植物園
かつて、牧野富太郎という高知出身の植物学者がいらっしゃいました。彼をモデルとした朝ドラが2023年春より放送されます。その牧野さんは、ついに完成をご覧になることはなかったけれども、その彼の功績を称えて、山の上に開園された植物園が高知市にあります。
ドラマで話題になる前に、行ってみようということで、大寒波がギリギリ通り過ぎたタイミングで、足を運びました。
この時期は、草の地上部が枯れたり、落葉樹の葉が落ちたり、それは重々承知の上で、逆に見るものが少ない分、絞ってゆっくり鑑賞できます。
また、先週の沖縄で気になった植物のことも、何か判明すればと思い、温室内の植物にも期待していますが、温室のリポートは次回。
見ごろの植物(1)~シモバシラ
入園料を支払う建物まで、園内の小道をほんの少し歩くのですが、その道中、最初に目に入ってきた小花「ユキワリイチゲ」。例のバイカオウレンと同じキンポウゲ科。ただし、太陽が当たってないからか、つぼんでいます。
こちら、地上部は枯れているのですが、株元を見てください。氷柱が立っていますね。だからこの植物を「シモバシラ」と命名したようですw ま、動植物の名前って、だいたいそんなものですよね。
寒波の直後に来園してよかった植物のひとつと言えそうです。暖冬気味ならこの立ち姿はおがめませんでした。ここ数日、ひどく寒かったとは言え、他の植物では、一切こうなっていないので、確かに不思議な現象です。お客さんの多くがこの植物を必死に探していらっしゃいました。そして、植物好き同士だからなのか、高知の人だからなのか、、皆さん割と気さくに話しかけてくださったことも印象的でした。
栽培品種が判明~シダ・ヒトツバ
今回来園して、思いがけず良かったと思えたのが、こちらのシダ植物「ヒトツバ」です。愛知の「花友」で買ってきた「獅子葉」のことがよくわからないで困っていたのですが、葉を見て、すぐに探していたそれだと気づきました。嬉しい!
小さなポットに行儀よく植わっているので、親株はどんな感じかな~と思ってましたが、野生種は、荒々しい岩肌にがっちり絡んで、ワイルドに着生していました。とても感動しました。ヒトツバは、園内のあちこちで見ることができ、半日陰~日陰で元気に育っているようでした。
ヒトツバは「斑入りや獅子葉のように、奇形した葉が園芸品種として流通している」といった趣旨の説明が添えられており、だからストレートの葉と、角のような葉が混在してたのかと思うと、ちょっと納得。
沖縄の植物(1)
「沖縄の」と括りましたが、わたしの中のイメージの問題で、実際には、関東以西~アジアの、海岸部に植生する植物が多いようです。だから、このような四国の低山の頂でも元気に育っていました。
近ごろ、南国を感じさせる肉厚の丸っこい葉っぱを見るたびに、「これは何?」と気になってしまいます。すぐ忘れるので、そのうち覚えられるように、ここに貼り付けておきます。
アオイ科ということは、ハイビスカスやオクラと同じ仲間ということで、似たような花を咲かせるのでしょう。主幹の分枝が独特で、特徴的ですね。通常はY字型に伸びることがほとんどかと思いますが、これは根っこのようにあちこちに枝が伸びていて、どこか奇妙な感じもあります。
冬の枯れた植栽の感じもなかなか乙です。奥にはレストランとそのデッキ席。
見ごろ情報
ようやく料金を支払って入場。
ここまでに恐ろしく時間がかかってしまいました。。もし植物の最盛期に訪れたら、帰られなくなってしまいそうです。
植物の見ごろ情報があると、効率的に園内を回ることができます。園内の掲示ほか、入場受付で同様の紙ペラ1枚もいただけますし、事前に公式サイトからチェックもできます。
見ごろマップ。
また、園内にQRコードが設置してあり、スマホをかざすと、紙パンフでなくとも、スマホから情報を得たり、ガイドもついているとか。でも結局、あまり使いませんでした。紙ペラ1枚を読んだ方が早い気がして(ちなみに楽天モバイルはガイドアプリが立ち上がらず、アプリのURLを手打ちして起動。ドコモなら一発でいけました)
なお、園内専用wifiがとんでいて、余計な通信料はかからないので、ありがたいです。紙か電子か、使いやすい方のガイドを使えばいいと思います。
ランチはラザニア
「レストラン・アルブル」で先にランチ。ちなみにアルブルは、フランス語で「樹木」でございます。
ラザニアを頼んだはずですが、ライスが出てきて、一瞬、「今日何頼んだっけ?ハンバーグ?」と混乱してしまいました。
恐らくラザニアとライスを一緒に出すのは、世界でもアルブルさんだけと思いますw 関西のお好み焼きとごはんを一緒に食べる感覚で出していらっしゃるんでしょうか。。ライス無しにしたら1,300円ぐらいでもよかったんじゃ?とも思ってしまいました。全部美味しかったけど、その周囲を飾った付け合わせの野菜たちが思いがけず、すごくおいしく、さすが植物園の食堂。
さて、レストラン隣には、お土産やさんもありまして、絵葉書が素敵で、植物のスケッチや水彩画をはがきにしたものは、自室に飾ってもいい感じになるかと思いました。
そんなおみやげの他にも、植物の苗が、多品種、販売されてました。
全国の苗販売される方も、これぐらいくわしい品種名を書いていただけるとありがたいです。横文字もあるからなのか、どこかカッコイイ。それに恐らく、管理方法も書いてあり親切ですね。ただ、草丈や花、樹形などの最終形がイメージしにくい鉢が多いので、このままでは、ちょっと手が伸びにくいかもしれないですね。
お店の前に生い茂る、この施設のシンボリックな中庭の竹林「タイワンマダケ(イネ科)」。
数年前に園内で別品種の竹の花が咲いたと話題になっていましたが、お米やトウモロコシと似たような白い花をつけていました。どうやら真竹の場合、120年経ってやっと花を咲かせるそうです。えええ~!?実際に見られたら、ラッキーとしか言いようがありませんね。
沖縄の植物(2)~アオノクマタケラン
タイワンマダケの株元が建物の1F部分にあり、上から見下ろしの写真です。アオノクマタケラン(ショウガ科)。やはり沖縄と縁のある植物がよく目に止まります。
ちなみにここにはありませんが、月桃(ゲットウ)がこれと似ており、そちらもショウガ科の植物。この両者も花が咲けば、色形の違いがわかりやすいです。
ちょうど、この翌日、2023年1月27日放送のNTV「アナザースカイ(ゲスト:後閑信吾さん)」で、アオノクマタケランが紹介されてました。ゲストが沖縄のバーを経営してらして、地元食材のひとつとして、アオノクマタケランのニュアンスをカクテルに活かすというシーンがありました。今度お店に伺った際にいただいてみましょうか。
なお、タイトルで「沖縄の」と便宜的にくくっていますが、先ほどと同様、日本のその他の温暖な地域で自生している植物もあります。
リュウキュウカンヒザクラ(バラ科)。リュウキュウマツと同じく、T字型といいますか、開帳型といいますか、これも独特の立ち姿で、遠目からでもすぐに言い当てることができそうです。遠景には、高知市と南国市(なんこくし)の街並み。
この日の園内の樹木の花は、みんな下向き。恐らく雪の影響でしょうか。次の蕾が少しスタンバイしているようなので、まだこれから綺麗に咲いてくれると思います。
ちなみに、こちらは別品種の桜の木で、ウメノキゴケを確認しました。1月の記事「門松コレクション〜京都中京区2023」でも一瞬触れていましたが、古木を表現するためにわざわざこの苔がついた梅の枝を門松に使うことがあります。
オオタニワタリ(チャセンシダ科)。沖縄では、森はもちろん、庭でもどこにでも植わっている、ポピュラーな印象のシダ。本州では「アスプレニウム・アビス」という名前で、室内鑑賞植物として、割と高値で流通しています。こうやって不織布でカバーしてやれば、四国の屋外でも冬越しできるんですね。プロの冬越し対策を見て勉強。
左はケラマツツジ(ツツジ科)。こちらの方が葉が少し大きいかもしれませんが、ぱっと見、本州のツツジとよく似ています。
と、ここまでご覧いただいたとおり、温室だけでなく、意外と屋外でも沖縄感・南国感がいっぱい感じられて、わたしは大満足です。
見ごろの植物(2)バイカオウレン追記2/25
牧野博士が愛したバイカオウレン(キンポウゲ科)。博士は、生家の裏山に咲いていたこの花を特別視されており、上京されて以降、その思いがより強くなったとのことです。確かに可憐で美しい花です。葉の形も好きです。
追記2/25)花の構造についてですが、白い5枚の花弁に見える部分はガク、黄色い花粉に見える部分が花弁だそうです。細く白い糸状にたくさん並んだ部分が雄しべ、中央が雌しべ。
ロウバイ(ロウバイ科)。こちらも門松コレクションで少し出てきていました。これも雪に降られて下向いたかなあ。ロウバイの中でも、ぷっくり丸い花形ではなく、細長い花びらの品種かと思われます。
ヤブツバキ”土佐有楽”(ツバキ科)こちらも雪で少し傷みましたか。今まで椿をこのようにはるか見上げて鑑賞したことがあまりないので、ちょっと戸惑いました。
スエコザサ(イネ科)。こちらも牧野植物園の紹介文では、バイカオウレンと並んで、頻出の植物。牧野博士が発見された笹で、その翌年、天に召された妻に、これまで貧しい家庭を支えてきてくれた感謝を込めて、献名したとあります。
次回、温室の回を予定。
牧野植物園まとめ
「日本の植物分類学の父」牧野富太郎博士を顕彰して、開園された植物園。
アクセス
・JR高知駅から車で20分
・MY遊バス(主に観光客向けバス)で高知駅から牧野植物園正門前または竹林寺前下車。往復600円(=五台山券)※桂浜券は千円。
入場料
・一般730円
・年間パス2,930円
※正門または南門(竹林寺前バス停)で購入可能
決済方法
・入場料:クレジットカード他、Suica、PASMO、楽天Edy、WAON、nanacoまで対応。素晴らしい~
・レストラン、カフェ:PayPayなどQR決済対応(カード不可)