最終更新日 2023.11.09
佐賀県唐津市の、とあるハウスみかん農家をたずねました。
唐津のみかん農家さんをたずねてみた
ご縁が繋がったきっかけ
訪問のきっかけについて、23年9月に沖縄を訪れた際、偶然、居酒屋さんでお隣の席にいらした、佐賀県唐津市のハウスみかん農家さんとお話をする機会をいただいたことです。
11月に「唐津くんち」というお祭りがあるらしく、ぜひお越しくださいと声がけしていただいてはいましたが、ただ、圃場(栽培している畑)に来てもいいとは言われておらず。。
今回の唐津訪問の数日前に、ハウスに行ってみたそうに、お願いしてみたところ、ハウス見学と質疑応答を一時間ほど受け入れてくださいました。
半ば押しかけですな?
m(_ _)m
謝辞
現在、大変お忙しく、神経をとがらせていらっしゃる時期にお邪魔してしまったにも関わらず、あたたかくお迎えくださいました。専門的な知見や長年の経験談も交えながら、わかりやすく解説くださり、非常に有意義な時間に。日々の天候や自然災害との駆け引きから、資金問題まで、幅広くお話いただき、貴重な時間を、急な訪問者のために割いていただき、本当にありがとうございました。
ハウスみかんの栽培のようす
農家の訪問目的
わたしがいま最も興味あるのは、実際どのようにプロが柑橘を管理されているかです。
ただ、実際にお話を伺うと、当然、管理と言っても、やること気にかけることは実に幅広く、規模が大きいので、小さな作業でもトータルではボリュームがあります。
どのぐらいの資金が営農に必要か、資材高騰と農家として生き残る方策、自然(台風などの災害や、日頃の気温や雨)との向き合い方など、農家のお仕事をあらゆる角度から、お話くださり、なかなかに濃ゆい時間でした。
このサイトでは、ハウスでのみかん栽培に関する話題を中心に、家庭菜園でもなにか参考になることがあれば、という思いでご紹介したいと思います。
ちなみに、私は楽天グリGOから取り寄せた、せとか一年生苗をポリポットのまま管理中。記事投稿日現在、9ヶ月ほど経ちました。まだ枯れてないですよ
あとはわが家に地植えで生えてる品種不明の柑橘と、第二畑のユズもあわせて管理しています。
農家さんの栽培環境
現在、こちらの農家さんでは、トータル130アール程度(1アール=1✕100m)のビニルハウスで、主にハウスみかんを栽培出荷されているようです。全量JA買い取り。なので、現在、個別販売はされていません。興味が出てきてた方、残念~
また、ハウスみかんの収穫期は、GWごろから9月にかけてだそうで、今回の記事には果実(正品)の写真は登場しませんので悪しからず。
こちらでは、温州みかんの赤みかん、青みかんを栽培されてます。樹上での管理期間の長短で、果皮の色や、甘みコクなどが変わってくるものと思われます。
具体的な栽培品種名までは伺ってませんが、それより大事なのは、美味しいみかんを、安定的に出荷することのようです。
確かに。農家の命題ですね。
肝心の着花と気温問題
先述とおり、今時期、神経をとがらせていらっしゃる、ということでしたが、具体的には、花のつぼみがつくかどうか、それが気がかりだったんだそう。
写真の通り、23年は、どの枝先にもしっかりつぼみが確認できたことで、心配が安堵に変わったようです。
昨今、異常気象で日本の亜熱帯化が進んでますが、23年は、11月に入っても依然高い状態です。先日の東京では最高気温が25度、熊本では30度と、その異変ぶりが話題になっていました。
暖冬傾向であれば、柑橘にとっては適温な気もしますが、実際、この状況は、ハウスみかんにはピンチなんだそう。
その理由として、ハウスみかんの秋花がしっかり咲かない問題がある模様。
秋に咲く花の前に、一旦気温が低下してくれれば、しっかり咲きやすいようです。
気温が下がる=みかんが冬(のような気温)を経験することで休眠に入り?、そこから暦上の冬場に、人工的に加温することで、柑橘に「春が来た」と勘違いさせるんですね。こうすることで、春〜晩夏にかけての、柑橘の端境期に、出荷できるようになります。野菜や果樹の端境期に、商品を出荷できることは、農家にとって、最大の商機になります。
ハウスみかんの管理作業とは、家庭菜園レベルも含めて、柑橘を露地で育てるひとと比較して、真逆の作業をやっていると言ってもいいのかも。私たちは通常、春芽を充実させて、夏芽と秋芽は必死にむしり取ってますので。
花をしっかりつけさせる裏技的方策としては、主幹にわざと切り傷をつけて、生殖生長に強制切り替えさせる方法も、取っておられたようです。
今は着花を促す資材が販売されてるそうで、研究の末、ちょうどいい合致点を見つけられてからは、以前より着花を最大化できてる模様。
素人向きで一番簡単なのは、根域制限かと思います。根っこを張る領域が狭くなることで生殖生長に切り替えさせる考え方。ただ、あまりに地下が貧弱だと、樹自体が負担を減らすために、自然落花あるいは落果しやすくなるようなので、樹高がまだまだ低く、枝葉も出ていないうちに、制限するのも考えもの、とのアドバイスいただきましたよ。うちのせとかが、まさにそれじゃないですか。。一日にして成らず。
ハウスならではの裏年回避
柑橘の他、多くの果実は、着果が充実した(間引かず、成らせすぎた場合も含めて)翌年は、逆に収量が減る「裏年」が発生してしまいますが、ハウスみかん農家さんは、それを回避する策をとっておられました。
露地栽培の場合、春芽でついた花を着果させて、一期作で終了。
ところがハウスでは、秋芽からの果実をGW以降、収穫しながらも、春芽からの花もつけさせて、これを裏年扱いして、なった果実は貧弱なため、収穫せずに、そのまま地面に落とすと。。それが写真の落果した状態のようです。私は現地で説明を受けても混乱しましたが、この記事を書きながら再び混乱してます。私は正しく理解できてるのだろうか。。果実をならせながら、裏年の花をつけさせたら、樹が疲弊しちゃいそうですが。。
なお、通常、柑橘は、春、夏、秋の3回花をつけると理解してますが、露地栽培では、春の花芽しか活かしません。夏秋の花を残しても、日照と積算温度の不足で、満足な収穫には結び付けられないためです。
家庭菜園でも、夏花(夏の新芽も)、秋花(秋の新芽も)は早めに除去します。そして、春の新梢や花実に栄養を蓄えさせます。
せん定
次は、せん定のお話。
日照を最大効率化させるため、枝葉が極力重なり合わないように、せん定されているようです。枝葉のぼんぼりみたいなのが、立体的に茂っているように見えます。
なお、ハウスのメリットとして、ビニルに当たった日光が乱反射することで、露地栽培よりも光合成効率は高いらしいです。へえ!
こちらでの、せん定のタイミングは、収穫後を基本として、その他、伸び過ぎた場合に適宜切り戻し等されるよう。
鉢植え柑橘へのアドバイスもいただきました。幼木は花芽つけるまで、むやみやたらにせん定で、いじりまわさないのがいいだろう、とのこと。これは切った反動で枝を伸ばすことに集中させてしまってなかなか着果しないのと、葉を切り落とす度に、光合成効率まで落ちてしまうためと思います。あとは、どこに花芽がついてるのか理解しないまま、切ってしまうって恐れもありますしね。一度、樹が思うように成長させてあげてみましょう。
肥料
施肥の件。こちらのハウスではJAから、化成肥料ベースの有機配合肥料(10:8:6)を基本的に一種類使用されてるそうで、しかも基本的に年一回だとか。土が肥えてるのかも。とは言っても、肥料食いの柑橘だし、生育状況で毎年、樹の状態は異なるかと思うので、土壌検査等含めて見極めていらっしゃるとは思います。
微量要素についても、特にこれを入れるという定期的な散布計画はないそうです。必要に応じて苦土石灰など投入。ただし、過剰施肥で土壌バランスが崩れると、思わぬ症状が発生したりするので、こちらも見極めが大事とのこと。
家庭菜園での柑橘の肥料は、一般的に、春夏秋の計3回。春に年間の半分を施肥。残る夏3割、秋2割程度。化成肥料(8:8:8~10:10:10などがめやす)でいいと思いますし、柑橘専用の化成肥料も販売されています。鉢サイズに応じた施肥量も裏書きに記されていますので安心。
家庭菜園の場合、苦土石灰は、元肥えとともに少量入ってればOK。元肥えは定植時や、植え替えなどのタイミングで与える肥料です。NPK以外の、微量要素入りの肥料や苦土石灰などは販売されていますので、そちらも意識して取り入れてみてください。ただし、過剰に投入してしまうと、例えば、根っこが特定の養分を吸えなくなるなどの障害が発生しますので、ぱらっと気持ち程度に留めておくのが大事ですよ~
病害虫
病害虫の件、いまのところ、一番気にされてるのは、ハダニ被害のようです。
ビニルハウスの目的は、加温保温のためなのかな、とは素人でも想像つきますが、この唐津地区の場合、大産地と比べて何がデメリットかというと、降雨量の多さがあげられるようです。佐賀では、元々、みかんはみな露地栽培だったようで、しかも日本海側で、みかんを作っているのは、佐賀だけらしいです。そのせいで、ハウス以前は、水っぽくなりがちで、肥料成分を吸いやすかったり、根もあまり伸びなかった恐れもあります。よって、当時はみかんの品質が良いとは言い難かったようです。その状況を一転させたのがハウス栽培らしく、つまり、ハウスは雨除け水切りの意義も大きいわけです。
そこで、新たなトラブルとして浮上するのが、ハダニ問題。乾燥状態で適温が続くと、あっという間にねずみ算式に増えてしまうのがハダニの特性です。ハダニが発生すると、葉裏から養分を吸い取ってしまって、カスカスに。光合成のできない葉っぱになります。
考えられる対策として、葉水を与える方法がありますが、茂った葉、大量に管理する樹木の隅々まで、万遍なく行き渡らせるのは、恐らく至難の業なんでしょう。また同時に、それは水を与えることになってしまうため、これでは問題が堂々巡り。。
そこで、最近はハダニの天敵である「肉食系ハダニ」をハウス内に放つことが農家ではトレンドになってる模様。そのハダニは、海外からで、例えばロシア産などが有力と聞いたことありますが、今の世界的情勢からしてロシア産品の輸入は難しいと想像されます。こちらのハウスでは、オシャレな?ベルギー産を使用されてるそうです。写真の小さなパッケージにハダニが入っていたらしい。。素人目にはゾッとしますがw
最後に
以上、軽く?ご紹介しましたが、非常に文字情報が多く、読みづらくてごめんなさい。栽培のヒントや参考になる情報があれば、幸いです。
植物の置かれる環境は、千差万別なので、完全にマネしても、上手くいかないことは、大いに有り得ます。思ったようにいかないなら、やり方を少し変えてみて、最適な管理方法が見つかるといいですね。
家庭菜園での柑橘のポイント(筆者まとめ)
・お水:鉢は乾きすぎないように。降雨が多い地域は雨よけが必要な場合も。
・肥料:鉢植えは年3回。地植えは地力あれば思ったほど必要ない場合も。
・日照:午前中を特にしっかり。できるだけ終日当たる場所で。屋内はNG
・お花:春花がつけば結実につながる可能性アップ。夏花・秋花は結実させない
・せん定:幼木は触り過ぎ注意。夏以降に新たに伸びた枝は早めに除去
・病害虫:過敏になる必要なし。アゲハ蝶の幼虫には注意
おまけ
ピッツェリア・ダ・ガエターノ
福津アプテカに行くつもりでしたが、時間の都合が合わず。代わりに博多のピッツェリア・ダ・ガエターノに行ってきました。薬院店は7~8年前に行ったきりですが、今回はJRJP博多ビル店へお初。
サラダが一番印象的でした。
レモン風味のビールおいしいよ。レモネード混合のビアカクテル。モレッティ社産。グラス脚が曲がってたのよね。手びねりならグラスお高いのかも。
イスキア風サラダ。フリアリエッリ(奥の丸葉)、レッドチコリー(どうやらトキタのラディッキオっぽい)で、ほろ苦さが大人のサラダを演出。にんじん、クルミたっぷり。
そんな野菜に加えて、グレープフルーツに、グリーン系マスカットまで!さらにドラゴンフルーツもサラダに入ってました~♪ すごくない?
ドラゴンフルーツは、スーパーで買うのより全然美味しいので、ホールスタッフに産地を確認してもらったら、ベトナム産でした。そこは普通だったけど、とにかくサラダとのバランスよかったです。ドラゴンフルーツの美味しい完熟品なら、沖縄で生産に励んでいらっしゃる方がひとりいらっしゃるので、ぜひそちらもご検討を。
ドレッシングは、オリーブオイルとお酢、塩に粉チーズかけたりして、ヨーロッパはこれが通常。栄養バランスもかなり良さそうで、これだけ入って、税抜780円の価値は大ありだと思った。
糸島で作った野菜だそうです。こういうサラダが作れるようになりたい。まずは野菜作りからだ~!w そして、このお皿のデザイン。どうやらナポリで買ってこられたようです。
生トマト、モッツァレラ、バジル、サラミ、エキストラバージンオリーブオイル、粉チーズ。言ったら出してくれたのかもだけど、できたら唐辛子オイルがちょっと欲しかったかな。
お客の前菜の食べ具合をよく見て出してくださってるようなので、おかげで、ピッツァを美味しく食べることができます。
甘い!美味しい!現地っぽい!
14~15時台でも客足絶えず、お忙しいそうでした。ごちそうさま~
関連リンク
・浜とん(リンク先:トリップアドバイザー)
沖縄は那覇市壷川の居酒屋。沖縄料理は基本的に出されていないはず。それでもこのお店のファンは多いように思います。海外のお客さんに対応できることから、外国人利用客に支持されています。現金のみ。
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ハウスの赤みかん、青みかんは、GW~9月頃が出荷時期です。