最終更新日 2023.02.25
2023年1月中旬、沖縄の南部にある八重瀬町(やえせちょう)をぶらぶらと歩いてみました。歩いた先の目的地は、自然観光スポットだったのですが、その道中を歩いているだけでも、沖縄の植生を十分楽しめました。
八重瀬町
読み方:やえせちょう。沖縄本島の南部にあり、糸満市と南城市の間に挟まれている。ほとんどが畑を占めている、のどかな町。畑では、サトウキビやマンゴーなどの栽培が見られました。これと言って、目玉の観光施設はないようですので、観光客が押し寄せることもなく、とても静か。安里(あさと)駅からは路線バスで1時間強。
幹線道路や路地をちょっと歩くだけで、いろんな植生が楽しめました。
貴重なブーゲンビレア
とある商店の前にブーゲンビレア発見。鉢植えで、太い主幹がバッツリと切られてますが、ここまですれば、ようやくコンパクトに仕立てられるようです。なるほどね~ 本来の樹形からは、かなり抑えられた仕立てになっているので、やはりどこか寂しさもあります。せっかく暖かい気候なので、空間があるのなら、のびのびと育ててあげたい植物です。
沖縄を(と言ってもごくごく一部にすぎませんが)歩き回っても、なかなかブーゲンビレアには出会うことができませんで、結局、見かけたのは、この商店前とホテルの植栽の2か所だけでした。青空の下で元気に育っているブーゲンビレアを沖縄でもっと見つけたい!
開帳型の代表リュウキュウマツ
沖縄らしい樹形の開帳型。その代表が「リュウキュウマツ」と私は勝手に思っています。沖縄にいるな~という気分に浸れます。
こちらの立派な植物。品種はわかりかねますが、開帳型。お墓の前に植えられていました。高く伸びるよりも、強い風の影響を受けにくいように横へ伸びることを選んだのでしょうか。枝が力強いです。
サトウキビ畑~その可能性(2/25追記)
一見、巨大で広大な草むらにしか見えません。部分的にススキも生えているので、全部ススキかと思ってしまいます。草丈2メートルを超えているので、その先が見渡せませんね。
ただ、畝建てしてあって、ところどころ、管理番号のような札が草にくくり付けてあるので、これはサトウキビで、ここら一帯がサトウキビ畑に違いない。通りすがりの散歩している若いひとに聞いてみると、ここら辺はサトウキビの一大産地だそうです。「これもサトウキビだと思う」と若干、曖昧な返答が。。最近、越してこられたようなのでそれも仕方ない。
この翌日、うるま市の離島に行ったのですが、そちらもサトウキビ栽培が盛んで、1月中旬は、ちょうど収穫時期にあたるようで、サトウキビを山のように積載した巨大トラックが忙しなく狭い道を走り回っていました。お米のように田んぼで処理(脱穀)せず、狩ったら作業場へ一旦運び込むのでしょう。
ところで、22年正月、西表島(いりおもてじま)に伺った際、ある会社の代表は、サトウキビ農家も兼業されており、作物としてサトウキビを選んだ理由が、国費での補助制度があるのが、日本では「米とサトウキビ」だけだからだそう。。少し後ろ向きな理由ではありますが、輸入品の米や砂糖から地場産業を守るためにも、沖縄の離島を無人にしないためにも必要な措置と言えそうです。一方でサトウキビからできる黒糖の在庫が消費されずに積みあがっているとも(23年1月27日放送「アナザースカイ」より)。微力ながら沖縄の黒糖を積極的に使っていきたいですね。黒糖はカルシウムなどミネラルが豊富なんですよ。
(追記:余談1)BS朝日「工藤阿須加が行く農業始めちゃいました」で沖縄宮古島のサトウキビ農家の回が放送されました(2023年2月22日)。収録は恐らく収穫ピーク真っただ中の1月中~下旬ごろに行われていると思われます。強風にも強く、水が貴重な島でも丈夫に育つ、その土地ならではの作物だということ。農家の9割が機械収穫にも関わらず、園主は食味や品質維持のために手刈りにこだわっておられることなどが紹介されていました。70アール(=7000平方メートル)を手刈りするということは相当なスピードで処理しないといけないですね。。サトウキビ畑の農業体験&スイーツづくりも珍しく、参加する価値ありじゃないですか?島バナナの勉強までできるとは、かなりツボです。
(追記:余談2)鹿児島では、サトウキビ残さを家畜(和牛)のエサにすることで、餌代コストカットというか、ほぼゼロにすることができている旨、日本農業新聞で紹介されました(2023年2月17日)牧草までも輸入に頼り、資材高騰であえいでいる日本の農業で、こういった取り組みが全国的にもっと早急に広がっていかなければ、日本の農業にも、私たちの食生活にも将来がないのではと思います。サトウキビは気温15℃を下回ると生育がストップするとされることから、本州でのサトウキビ栽培自体は難しいかもしれませんが、他の作物で代替することは十分あり得るはずです。また、休耕地の活用も検討していくべきです。
ナツメヤシ
ころころ丸い実がついていますが、甘いドライフルーツ「デーツ」や、お好み焼きソースの原料として知られています。ちなみに、「なつめ」とは植物の科目において、ナツメヤシとは別もので、なつめの実は、見た目がデーツに似ていますが、こちらは漢方的な味覚がします。
クワズイモ
本州では、部屋の中で、必死に育てている植物も、沖縄では当たり前のように、野や藪で自生しています。クワズイモもそんな植物のひとつです。葉は大きくて青々して元気そうです。わたしは初めてこの光景を見たとき、衝撃を受けました。さすが南国。でもどこにでも生えているので、もう慣れっこです。
マメ科などの植物が周りにうっそうと茂っています。
サンセベリア
サンセベリア(サンスベリア)ゼラニカという品種かなと思われます。空き地か藪で自生しているようでした。本州では、観葉植物として、ホームセンターなどの鉢に植わっているものしか見たことがないので、ビックリ。土地さえあれば、どんどん増殖する、旺盛な植物なんですね。成長なんてほとんどしない、おとなしい性質なのかと思ってました。
クロトン
先日紹介したクロトン。こちらは広葉型です。葉脈が赤や黄色に染まってにじんだように見えますが、そういう植物の特性です。枯れたり、栄養が不足しているわけではありません。こちらは街路樹として植えられています。
らせん型のクロトン。とにかく色も形も多種多様です。こちらは空き地か藪に自生していました。お墓の周辺にも意図的に植えられているのをよく見ます。
カンナ
沖縄では道端によく植えられているポピュラーな花のようです。赤の他、白、黄色などビビッドな花色が目を引きます。葉の形状はバショウ科のようですが、カンナはカンナ科に属します。
ハイビスカス
あまりたくさんは見かけなかったものの、さりげなく咲いている南国らしい花。
本州で育てるなら、一年草で、夏だけですが、野菜のオクラを栽培してみるのがいいかもしれません。ハイビスカスの花に似た、白い花を咲かせます。ハイビスカスと同じ、アオイ科の植物です。
関連リンク
肉牛にサトウキビ残さ 栄養十分、粗飼料代ゼロ 鹿児島、循環型農業めざす (2023年2月17日)/ 日本農業新聞 (agrinews.co.jp)
沖縄黒糖の栄養 | 沖縄県黒砂糖協同組合 (okinawa-kurozatou.or.jp)
工藤阿須加が行く 農業始めちゃいました | BS朝日 (bs-asahi.co.jp)
宮古島黒糖&島バナナスイーツ作り体験アクティビティ! | オルタナティブファーム宮古 (alternative-farm.com)