最終更新日 2023.03.25
畑で野菜を作ると言っても、好きなものを適当に植えてしまうと、思ったように育たないことがあります。そこで、種まき、苗の植え付け前に、どんな野菜を、どの辺に配置して植えるかを考えます。
野菜の配置
先日、畑の仮契約をしてきました。
ここに好きな野菜を植え付けていくことになります。
まずは、野菜の配置を考えます。
配置の条件やポイントとなる項目がいくつかあります。
1)日当たり
基本的に、野菜は、しっかりと日光が当たることが、収穫の成功に直結します(西日をのぞく)。野菜の最終的な草丈が、南から北に向かって、低→高となるようにします。
今回の畑は、レンタル畑で、周囲に他人の区画が並んでおり、念のため、その点も考慮しました。日当たりの一番いい場所に、たい肥エリアを設けましたが、南は田んぼのため、刈り取った野菜などを積み上げても、周囲の利用者に目立たないため。また、トウモロコシの北側がカゲになるかもしれませんが、耐暑性がやや低いスイスチャードやハーブ類を配置しています。ただ、夏日が高高度から照り付けることから、思ったほど、カゲにならないかもしれません。
2)野菜の科目
北側は、前契約者がアブラナ科の野菜(キャベツ、葉ボタンなど)を育てていた痕跡がありました。そこで、その跡地には、キク科、アカザ科、セリ科、イネ科を配置しています。つまり、同じ科を連続して育てないようにしています。
理由としては、1)前作の野菜が消費しきれなかった栄養分が残っている、2)前作の野菜特有の病害虫が残存している、といったことがよくあげられます。
これらを原因として、同じ科の野菜を育てると、病害虫にかかりやすくなります。これを連作障害と呼びます。特にマメ科は、連作しないように提言されているのを目にします。なので、逆に言えば、他の野菜は、そうでもないのかなと思ったりもしますが、、。
例えば、トマト農家は、基本的にトマトに絞って作っておられるでしょうから、ひとたび、障害を出したら、業として成り立ちません。障害を回避するために、太陽光や寒暖差などの自然エネルギーや薬剤を使って土壌消毒したり、土壌の栄養成分傾向を外部で解析してもらって、不足している特定の肥料成分だけを投入したりされていると思われます(3/25追記:つるちゃん情報によるとコメリで土壌分析してるとのこと。5,000円。最近コメリは都市部から撤退して田舎の農家をターゲットにしてるので店が遠いですけどね)
一方、家庭菜園に対しては、連作障害を回避する培養土や、菌類を使った土壌改良資材も販売されています。前作で何を作ったか忘れた場合などは、これらで手軽に畑をリセットできます。
海外では、植物によっては、連作することで、逆に強く丈夫になっていると言われる場合もあるようです。日々研究が進められる中で、いろんな理論が出てきていますので、今まで正しかったこと、信じていたことが、あっさりと「正しくない」なんて言われることも少なくない、農業の世界です。
3)水はけ
畑の中でも、部分的、あるいは、全体的に、水はけが悪いエリアがわかっている場合があります。できれば、栽培準備を始める前に、まず水はけがよくなるように、畑の傾斜や、排水路を確保します。
わたしは畑デビュー1年目で、うね間を掘り過ぎ、その付近で最も低くしてしまったらしく、周囲の畑からの水分をすべて集めてしまいました。結果、自分の区画を”沼”状態にした失敗があります。
ここまで極端でなくとも、なんとなく水はけが悪い場所がある場合、まずは、感覚でいいので、気になる箇所を、できるだけフラットな状態に戻します(高い場所から持ってきた土を入れていく)。それができたら、水をはけさせたい方角へむかって、うっすらと、削ったか削ってないか位の感覚で、土を少しずつひっかきながら削っていきます。1m横方向に対して1mm下がる程度で、水は流れます。
それでも、改善しない場合は、その立地を逆手にとって、水を好む野菜を植え付けるようにします(サトイモなど)。ただ、ナスやキュウリなどの夏場、水を好む野菜も含まれるかと言われれば、違います。それらは、水はけが悪いことは好んでいないので、誤解されませんように。また、ダイコンやゴボウなどの根菜類は、そもそも育てないようにするか、とにかく高うねにして、短型の品種を選ぶようにするなど、工夫します。うまくいくかは、やってみないと分かりません。
マルチ
図中にマルチを3種類登場させていたのですが、今回は、時期と用途で、使い分けをしてみる予定です。マルチとは、うねに敷き詰めるビニールの膜です。雑草防止や土の跳ね返り、地温上昇などの役割があります。
透明マルチ
春の地温が低いとき、発芽を促す目的で、たねまきしてから、上に被せて、芽が出そろうまで、しばらく放っておきます。水分は逃げないので、その間の水やりの必要はないはずです。芽が出た時点で、外します。デメリットは、透明で光をよく通すので、野菜の発芽だけでなく、草もしっかり生えます。
黒マルチ
一番安いので、全期間、全野菜に使っても構わないとは思います。ただ、最近の夏が暑すぎるので、地温も上がりすぎるのが難点です。できれば、盛夏前に黒マルチはとって、保湿と雑草防止に、ワラなどへ切り替えた方がいいかもしれません。ただ、ワラも買えばそんなに安いものでないのが難点です。
シルバーマルチ
黒よりも、地温が上昇しすぎるのを、ある程度、抑えられ、銀に反射した光を嫌う害虫をよせつけにくい効果をねらって、夏のウリ科やナス科のマルチとして使用します。現在の販売価格は、黒マルチのおよそ4倍で、涙涙です。
必要なタネ~苗数の概算
上記に加えて、どの野菜を何株植えるかも考えます。タネから発芽させる、苗を買ってくるにしても、タネや苗をいくつ用意すればいいかがわかります。そのためには、適切な株間を知りましょう。
横一列の間隔はかなり狭く、隣の列との間隔が少し広くなっている野菜があります。理由は、横一列の芽を、野菜別に適切なタイミングが来た時点で、間引く(1個飛ばしで芽を引き抜く)からです。最終的には、少なくとも10センチ間隔まで間引いていきます(ルッコラは5センチ程度)。
タネをあまりに多く、不規則にまいたり、欲張って苗を植えすぎたりすると、早々に葉や根がぶつかりあって、生育不良を起こしたり、タネの場合、炎天下の下で、混みあった細く小さな芽を、延々と間引き作業することになります。。
また、間引き自体がもったいないようにも思えますが、育っている芽の中から、生育の良いものを選び抜き、さらに大きく生育させたり、芽本来の生育本能を刺激する(隣にいるライバルよりも大きく育とうとする植物の生存能力を活用する)ことになるため、必要な工程になります。たねまきや植え付け段階で、土壌に農薬を散布しなかった場合は、間引き菜を楽しむことができます。