最終更新日 2022.07.22
水やりは、植物を育てる人にとって、永遠のテーマ。一見シンプル、だからこそ奥が深い。
水やりについて、今月の水やり計画と、水やり方法を解説します。
22年7月の水やり計画
こちらは我が家のプランです。ほとんどが鉢植え(ただし鉢サイズ=土量=保水量が植物によってまちまち)午前中直射の場所が多い、本州太平洋側平地部。
※シダは月1回(多肉と同じ日)
もし、枝先の葉っぱがしょんぼりしている場合は、確実に水が不足しています。数時間内の気温上昇を予想したうえで、水をすぐに与えます(あるいは気温が下がるまで待つ)。
水や肥料を与える回数は、植物のようすと土の状態をよく観察してください。
※花に酸が当たると色落ちするので注意
※葉が黄色く感じたら硫酸マグを適宜
ニーム=ニームオイル(ダイコー, 100ml)
ハイポ=ハイポネックス(ハイポネックス社, 450ml)
ばら液=ばらの液体肥料 マイローズ(住友化学園芸, 800ml)
酢 =食用酢
ロズパ=ローズパーフェクト(たまごや商店, 500ml)
硝酸カルシウム =(たまごや商店, 1000ml)
硫酸マグネシウム=(たまごや商店, 800g顆粒結晶)
気候概況(追記7/18)
22年は、観測史上最速の梅雨明けでした。特に同年6月は、かつて経験したことがないほど、異常な高温が続きました。日本の亜熱帯化が一段と進んでいるように感じます。
このままでは、電気だけでなく、水不足にも陥る恐れは十分にあり得ます。また、農家には高気温と水不足で、果菜の生育に大ダメージとなり、野菜・くだもののさらなる高騰化は避けられないでしょう。
ただ、2週間予報では、22年7月4日ごろから当面、雨または曇天が続く予報であることから、いったん地表は、多少クールダウンされる見込みです。
7/18追記)———————
7月前半、豪雨被害にあわれた農家の方が心配です。7月後半は、戻り梅雨で、断続的に雨模様の日が続く予報です。
植物にとって、下は20度超~30度前後の適温状態が続いており、発芽・生育にはもってこいの環境です。特に、冬野菜の準備期間として、今年は最適の状態ではないかと思われます。冬野菜はこんな暑い時期から、ある程度成長させて、気温低下に備えるのが通常です。
猛暑日の水やり注意点
高温時・高温前に水をやらない
早朝または夕方の冷涼な時間帯に水を与えます。午前中の遅い時間帯~日中に水を与えると、土中の水温が上昇して、根腐れを起こします。
うちの場合は、午後から日陰になる植物が半数を占めているので、水やりが遅れた場合は、日陰になったのを確認してから、水を与えた方が安全な状況です。
ホース内の湯を抜く
直射日光が当たるような保管の仕方では、99%熱湯化しています。必ず、ホース内の湯を、別場所で出し切ってから、水やりをします。できれば、ホースの保管場所を見直します。
なお、直射日光が当たっていないもの(カバー付きのホースも含めて)でも、ホース内の水がぬるま湯になっている場合があります。
枝先がお辞儀して急を要するサインを見つけた場合
気温が下降するのを見計らって、すぐに水を与えます。鉢栽培なら、鉢にも水を当てて、クールダウンさせます。
土や鉢に直射が当たらないように、なんらかの遮光を行うか、鉢は日陰に移動できます。
もはや、日本はかつてのような気候ではなくなっています。いくら多くの植物が日光を好むとしても、そもそも直射が朝から夕まで当たっているなら、数時間程度に収まるような場所に移動させます。
枝先がお辞儀した状態を、めやす1日以上放置すると、少なくとも、その枝先は復活する可能性は低く、枯れこみます。
水枯れを防ぐ方法として、白い鉢カバーや麻袋などで鉢の側面を遮光、寒冷紗や建物の日陰などで植物全体の遮光、バークチップやココヤシ繊維などで土中水分の蒸発を防ぐなど。植物の置かれた環境やご自身の予算次第で、できる対策はさまざまです。
土中の水分量を増やすための植え替えについて、このような高温期は、適期でありません。強行すれば、余計に根を傷め、樹勢を衰えさせる要因になりえます。植え替えは、秋以降に見送って、他の方法を検討しましょう。
水やり方法とタイミング
植物が置かれた環境によって、土の状態が違うはずなので、水は、土のようすをみながら与えます。
🌈水が鉢底から出るまでたっぷり
まず水やりするときは、水が鉢底から出るまでしっかりとやることが重要。理由は、乾いた土に、根は伸びないから。また、このことで、土中の空気の入れ替えも行われるとされています。
植物の生長がいまいち、と感じたら、水やり不足をひとつの原因として疑いましょう。
🌞水やりは土が乾いてから
そして土が乾いてから、水を与える、ということ。土を乾かすということが重要です。土が乾くと、根っこは水がある方へ根を伸ばそうとして根っこを広げていきます。株の土台である根が充実することで、結果、地上の葉茎もしっかりと成長していきます。
また、ずっと根っこが濡れたままにすると、根腐れ、つまり、根っこがふやけて、結果、くさります。
土全体を常に水にさらすのではなく、土の保水性をあげたり、乾燥を防ぐ対策をしましょう。具体的には、赤玉土の割合を増やしたり、土表面にマルチングしたりすることがおすすめです。また、鉢は素焼きより、プラ鉢の方が土が乾きすぎることを防ぐことができます。
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わたしの場合、“この2点が守れているなら”、何日おきに水やりするという計画を立ててもいいと思ってます。なぜ、水やりを計画するかというと、私が忘れっぽいのと、少しでもラクをするため。
ただし、「水やり何日おき計画」は、次の条件をふまえた上で。
ズボラ水やり「何日おき計画」の条件
気温が20度を超えてから、季節(気温)・土の表面の乾きが、水やり計画を立てる際に、注目している主な条件です。
季節(気温)
🌞我が家の場合、22年2月は、10日に1回しか与えていませんでした。3月に入ってからは、突然5日おき(のち3~4日)に増やしました。といった具合。
カレンダーのとおり、水やりに規則性を持たせています。これで、水やり予定のない日は、特に何も考える必要がないので、気持ちがラク。
ちなみに、この計画は月ごとに改めています。
雨が降った場合
☔計画段階では、雨を考慮しませんが、長雨に当たった庭木や畑のような場合、水やりを省いています。特に田畑をされる方にとって、雨の偉大さは、人手による水やりとは、雲泥の差があることを、痛感されると思います。
ただし、液肥や薬剤散布について、雨後に散布日程だった場合、私は与えます。土や葉がぬれているので、迷いそうですが、あくまで、液肥や薬剤の散布が目的なので。
逆に、雨の日と散布日程がかぶった場合は、雨がやむ翌日まで待ちます。雨で洗い流されては散布の意味がありません。
長雨になると、散布計画が狂ってくるので、どうするか判断に迷うはず。この辺は、また該当月に詳しくリポートします。(22年は梅雨などの長雨で水やり判断に困るような場面が上半期は訪れませんでした)
土の乾きを知るめやす
「土が乾いたらたっぷりと」とはよく言いますが、土の中が見えるわけでもないのに、どうすれば、土が乾いたかが、わかるでしょうか。
私の記憶にある限り、紹介します。
鉢の重さを知る
「趣味の園芸」鶴岡先生や「やさいの時間」深町先生が指導されているのをたびたび見ました。
1.水やりする前の、鉢を持ってみる。
2.水やりした後に再度、鉢を持ってみる。
3.それぞれの鉢の重さを感覚的に覚えておく。
というものです。
ただ、栽培する鉢が多いと、いちいち覚えていられないかもしれませんね。それでも、実際持ってみれば、なんとなく分かることはあります。
また、鉢の数が多すぎると、持つたびに疲れますね。人が持てる以上の、重量級の鉢や庭木の場合は、無理です。
割り箸を土にさす
「やさいの時間」で、深町先生が指導されるのをしばしば見かけます。乾いた割り箸を土に刺して、土がひっついてきたら、まだ土がぬれているというもの。これは目に見えて、わかりやすいです。
一方、深い鉢や、そもそも土が硬めの場合は、割り箸が土に入らないので、難しい方法です。
土に指をいれる
指を土の中にいれてみてもいいかもしれません。私は実際、たまにやります。指で軽く掘ってみると、土の表面から少し下の状態だけはわかります。
ただ、土の表層部の状態しかわかりません。また、乾いてないのに指を入れると、当然、汚れますし、掘り返しすぎると、根を傷めますので、やりすぎは注意です。
水やりセンサーを使う
土の状態をお知らせしてくれるチェッカーが販売されています。IKEAでこの存在を初めて知ったのですが、あまり評価は高くなく、電池も必要です。(生産終了)
アマゾンでも同じコンセプトの商品が販売されていて、色も緑なので、植栽にも馴染みやすいと思います。電池も不要です。
鉢の数が多い場合などは、全部の鉢に挿さなくても、間引いて利用する、絶対枯らすわけにいかない株にのみ利用するなどすれば、センサーをいっぱい買う必要はないかなと思います。
ただし、間引きでセンサーを設置する場合は、チェッカーを差していない鉢の置かれた環境も同じであることが条件です。
葉の状態を見る
いよいよ土が乾いて、水が切れてくると、葉や枝が若干しんなりしてきます。これに気づいて慌てて、水やりすることが私はよくありますが、一度水をたっぷりやれば、また元の状態に戻ってくれます。
私はこの「葉の状態を見る」方法をもとに、水やりが必要なタイミングをおおよそ知ることができるようになりました。これでズボラ水やり計画も立てられるようになります。
では、一部の果樹のように、冬場に落葉する場合、落葉樹の脇に、常緑の植物を置いています。この常緑種がしんなりしてきたら、危険信号。これで、落葉樹でも、水やりのタイミングを知ることができます。
私の場合、例えば、レモンバームというハーブをバラや果樹の横に置いています。ハーブは水切れ状態に敏感です。
注意なのは、葉がしんなりした時間があまりに長いと、しんなりした部分が復活できないまま、枯れる恐れがあります。
バラの場合、極端に枝先が下を向くので、それを初めて見つけたときは、「失敗した~」と思って、かなりショックでした。ただ、すぐに水を与えると、1時間もしないうちに、シャキーン!と復活するのでびっくりします。
一方、同じバラでも、しんなり水切れ状態が、確か1日以上と長くなってしまったときだったと思いますが、水を与えても、しんなりした枝先は、復活せず、その後、枝先のみ枯れこんだこともあります。
もし、枝葉のしんなりに気づいたら、すぐ水やり。そして、水やり間隔をさらに短くすることが大切です。
ちなみに、コニファーのように一度枯れるとその部分は再生せず、枯れっぱなし(ハゲたまま)のような植物があるので、すべての植物におすすめできる方法ではありません。植物の特性をよく調べたうえで、この方法をお試しください。
土の表面を見る
わたしはプランどおりに水を与えていますが、まだ表面が乾いていない場合は、水自体を控えます。
これは簡単、誰でも分かります。ただ、水はけの悪い土だと、土中がいつまでも濡れた状態です。そこへ水を与え続けると、根腐れを起こすリスクが高まります。
ところが、うちの場合は、全体的に排水性を重視した土の配合にしているので、表層部があまりにも湿気た感じでなければ、躊躇なく水を与えることができます。
排水性を高めるためには、単に野菜や草花用培養土を使うよりも、「土壌改良剤」を何割か混ぜてあげます。土壌改良材は、赤玉土や鹿沼土など、種類が豊富です。植物が水が好きかどうか、水やりが大好きな方や毎日忙しい方、日当たりの良し悪しなど、植物の特性、ご自身の生活環境などで使い分けることができます。くわしくは後日詳報します。
水やりに混ぜている肥料や忌避剤
ハイポネックス
6:10:5
液肥。定番中の定番。バラも含めて、あらゆる植物に使えると思います。希釈倍率が4種類設定されていますが、植物の種類や育てる環境別でざっくり記載されているので、どれに該当するか、希釈率を間違えないようによく見ましょう。
元気にしたくて、濃い希釈水をあげると、徐々に株が弱るか、最悪枯れていきます。
マグネシウム、マンガン、ホウ素も含まれています。
マイローズ ばらの液体肥料
4:7:5
バラに美しく元気に咲いてもらうため、わざわざこちらを取り寄せました。
この商品の特徴は、ミネラル(硫黄・カルシウム・鉄・マンガン・亜鉛・塩素)・イノシトールなどのビタミン・グルタミン酸などのアミノ酸・グルコースなどの糖類・乳酸まで含まれた天然有機質を配合した、優れた液肥です。
これだけの成分が含まれるので、沈殿するものがあり、よく振ってから使います。
天然有機質で、土壌微生物が活発に活動し、土壌菌のバランスが整うことで、土質改善、根張り促進、株の健全な生育につながります。
特に窒素が少な目なので、お気に入りの品です。窒素過多は植物にとって徒長、株の軟弱化、病弱化と、いいことがありません。また窒素を消費するための鉄不足も同時に陥ります。
ミネラルの「塩素」とは、光合成や糖類生成に関与するもので、大事な元素のひとつです。
ニームオイル
病害虫予防のひとつに、ニームオイル(250ml、メーカー:ダイコー)を希釈して葉水で与えています。機械油のような、クセの強い香りがしますが、天然素材なので、安心して使用できます。食害した昆虫の殺虫、食欲阻害効果が認められている資材です。
ローズパーフェクト
バラの活力剤として「ローズパーフェクト(500ml、たまごや商店・茨城県)」を希釈して、葉水で与えています。海藻エキス由来のミネラルや、微生物・酵素も含んでいます。バラとこちらの資材を同時に取り寄せたので、こちらを使わず育てた場合との比較ができないですが、どの株も、とにかく樹勢が強く、元気です。