最終更新日 2022.09.17
ヨーロッパのいちじく品種のひとつ「ビオレソリエス」の管理状況です。
2022~23年ごろにかけては、体づくりの年につき、結実・収穫はしない(できない)予定です。
ビオレソリエスとは
フランス原生。Violette de Solliès(ヴィオレ・ドゥ・ソリエス =”ソリエス村の紫”)。ソリエスは、ニースやカンヌの南西部にあたる、地中海沿いの、年間通して暖かい地区。
クワ科。いちじくの品種のひとつで、秋にのみ実をつける秋果専用種。なお、「無花果」と書いて、いちじくと読むが、実際は、いちじくの「花の集合体」を果実として食している。
果実自体は大きくなく、収量も少ない。そのため、希少価値があり、「幻の黒ダイヤ」とも呼ばれる。収穫時期は10月~11月上旬ごろ。
成育状況
前回までの振り返り
22年1月下旬に、楽天の「グリGO」から棒苗(1年生苗・自生苗=接ぎ木ではない苗)を取り寄せて、栽培をスタートさせました。
棒苗を切り損ねた結果、頂芽優性が働いて、頂上部からのみ、側枝が2本伸びました。ビオレソリエスは、この”頂芽優性”が強い特性のようで、調べたところ、横に寝かせても、株元に近い芽からは出にくい印象。
現在の成育状況
6月末以降の猛暑日を迎えてから、成長は止まったように見えます。樹高は3カ月前とほとんど変わっていません。
日が昇る方向に、日光を求めて強く伸びたことで、樹形のバランスが悪く、地上部の大きさと鉢サイズが全くあっていないこともあり、支柱で支えないと倒れます。土量もないので、水分がなくなると、鉢がとても軽いです。重さと乾きの対策として、二重鉢にしてもいいと思います。
頂上部。割と大きく膨らんだ脇芽が2か所ほど確認できました。ただし、「葉芽」に見えます。初夏に脇芽から出た「花芽」が肥大化していけば、秋口にいちじくが収穫ができるところです。
日々の管理
春先に植え替え・せん定を行ってしまえば、日々の水やりと、時々の追肥しかすることがありません。ビオレソリエスは、側枝も出にくいかもしれません。また、病害虫もつきにくく、管理がラクな果樹と言えます。
扱い方は、他のいちじくに、ほぼ同じ。ただ、このビオレソリエスについては、栄養成長(樹形の拡大)を優先する習性があるため、結実しにくい品種です。また、晩生(おくて、いちじくとしては遅い10~11月上旬ごろ収穫)品種のため、気温低下が早まると完熟させることができず、収穫に至りにくいことも承知の上で、栽培しましょう。
水やり
気温30度超えから、毎朝水やりをしないと、確実に水枯れに陥る環境です。圧倒的に土量が少なく、翌朝にはカラッカラに乾いています。ただ、逆に、1日1回で水は足りました。土の状態は、理想的と言えます。
病害虫の心配は少ないため、雨に当たる場所に置いています。
病害虫
特に被害は見当たりません。コガネムシ等の幼虫であるネキリムシ対策として、ベニカXガードを発生時期にあわせて、年3回散布しました。
その他、テッポウムシ(カミキリムシ)の不安は残っています。今のところ、まだ対策は実施していません。
スマホで撮影すると、黄ばんでしまうようですが、実際は緑色の葉です。
さて、もう一方の品種「ゼブラスイート」は、台風で屋内に避難させた数日の間で、水不足になって、葉全体の黄化が一気に進んでしまいましたが、こちらのビオレソリエスは、水切れさせなかったため、順調です。
葉の黄化が、8月末ごろに、株元に近い場所で、数枚程度、出ました。わたしの中の結論としては、日光が当たっていない葉を自然落下させる生理現象か、あるいは、栄養が不足したかのどちらかと考えました。固形肥の施肥後に、黄化は止まったように見えました。なお、液肥は週1回で与えていますが、その程度では、果樹の黄化は防げないという証ととらえています。なお、一度黄化した葉は、すべて落葉しました。
今後の管理
2022~23年ごろ(1~2年生苗)は、樹形ができあがっていないため、結実はまだしない予定です。
収穫
うちの場合、2023~24年ごろまでお預けの予定。2022年は10月末ごろまで残暑が続く予報なので、今年実をつけた方は、樹上完熟に成功する確率は高いかもしれません。ちなみに、いちじくは、トマトやバナナなどのように収穫後の追熟は不可能なので、樹上で完熟するまで待ちます。
どのぐらい効果が出るかわかりませんが、鉢植えの場合に限り、気温が10度(フランス・ニースの11月最低平均気温が10度)を下回るまでに暖かい室内や、市販のミニ温室などへ移動させれば、追熟対策ができるかと思います。
追肥
お礼肥えと休眠前のエネルギーチャージとして、固形肥を与えます。必要であれば、毎月1日に固形肥を与える計画を立てていますが、10月1日が最後の追肥となる見込みです。2022年は10月下旬~11月上旬に一気に寒さが厳しくなる予報が出されています。そこまでに肥料を吸収させておく必要があります。
植え替え・せん定
いずれも春先の予定。
植え替え時、鉢サイズスリット8号(実質7号)は、変更しませんが、根鉢を少し引っかいて、露出面を軽くほぐす程度にして、すぐ戻します。栄養成長の特性が強いため、根の成長を早々にあきらめさせて、生殖成長(結実)へ移行してもらいます。
せん定は、植え替え後、2022年の春に出た2本の側枝、その根元から1~2節残した場所で切り落とすつもりです。これで4~5月ごろに、切った部分の節から新梢が伸びてY字型の樹形になります。この新梢に結実して、早ければ、2023年10月末ごろには収穫できるかもしれません。
このせん定、本来なら、主幹が10~20センチ程度残して切っておけば、株元付近から枝がV字型に伸びるようになり、樹高も成長エネルギーも抑えることができました。うちの場合、棒苗を全くカットしていないので、樹高は2mほどまで伸びるかと思いますが、もし、樹高を低くしたいなら、一度株元付近まで、切り戻してしまえば、振りだしに戻る格好にはなりますが、V字型に樹形が整えられ、2~3年後に再び結実し始めるかと思います。
苗木の取り寄せ先
苗木の専門店グリーンでGO!(楽天市場店・三重県)は、苗木を中心に販売されている総合園芸店。最近、果樹と言えば、こちらの店舗でしばしばお世話になっています。ちなみに「苗木部 by 花ひろばオンライン」も同じ運営会社。
これまで取り寄せた植物は、根っこも地上部も、到着時から現在に至るまで、状態はとてもよかったです。
注目の商品は、テッポウムシ(カミキリムシ)予防フィルム。ぶどうの他、オリーブ、いちじくなどの果樹やバラの幹を食い荒らす被害を軽減する園芸資材。幼木のような細い幹でも被害は出るようなので、対策は早ければ早いほどいいと言えそうです。値段が気になって、まだ手を出していません。