最終更新日 2022.07.13
枯れた、廃れた、見放された・・そんな悲しい植物を復活させる「再生シリーズ」です。
シリーズ第5弾は「ゼブラスイート」
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ゼブラスイートとは
フランス原生。クワ科。いちじくの品種のひとつで、秋にのみ実をつける秋果専用種。
海外ではPanacheeの名称で流通。日本では、親しみやすい名前で販売促進させるため、ゼブラスイートと名付けられたと思われる。熟した果実の表皮は、うすい黄色を帯びている。名前のゼブラに示されるように、結実の初期段階には、緑のしま模様が入っているのが特徴だが、成熟するにつれて、その模様が薄れていく。
なお、「無花果」と書いて、いちじくと読むが、実際は、いちじくの「花の集合体」を果実として食している。
現在の株状態から過去の管理状況を推測
22年5月下旬に、棒苗状態のセール品をホムセンで買ってきて、栽培をスタートさせました。生育状況としては、2年生程度かと思われます。
店の隅に長らく放置されていたようで、値札も不明瞭になっており、販売員に確認しました。正品の状態では、定価数千円だったようです。私が購入意思を示すと、安値(727円)で売るのを口惜しそうにされていました。だったら、ちゃんと管理しておけばいいのに。。
枝の先端にのみ、葉がついていますが、全体的に黄色く、葉の表面もごわごわに硬い。生育が止まって、ひょっとしたら枯死しているかのようにも見えます。造花のようです。
推測ですが、この枝は、元々1本の棒苗状態で販売されており、昨年、細長い枝を根本付近から2本伸ばしたようです。うち、店員に1本を間引きせん定され、現在のV字型になったと思われます。昨年の販売中に、細い枝が数本しか伸びていないところを見ると、ほとんど肥料は与えられていないでしょう。
今春には、V字の枝の先端から、最後の力を振り絞って、数センチだけ新梢を出し、そこから新葉を出しましたが、精も根も尽きて、私が見つけた頃には、立ち枯れ状態になったのではないかと。
このように、いちじくに限らず、植物の生育期には、適量の肥料が必要です。
また、いちじくには、今春、新たにのびた枝に葉をつけ、その葉の付け根に1個の果実をつける習性があります。この新梢や葉が貧弱な状態であれば、満足に結実しないでしょう。新梢を太く、新葉を大きく充実させることが、いちじくの収穫成功のカギと言えます。
生育期の植え替え
持ち帰った苗を、さっそく植え替えました。22年5月23日に行いました。
2年間も小さなポリポットで育っていれば、これぐらいは根回りしていても不思議ではないですが、これでよく耐えたな~という印象。
細根を全部取り除いたら、ラピュタ状態になりました。
5月の活動期にこれだけ根っこをあらわにするのは、少々リスキーです。本来の植え替えは、休眠期の3月ごろまでにとどめておきましょう。わたしは、ここから、さらに手を加えてしまいました。
根をリフレッシュさせるため、とは言え、さすがに、5月のタイミングで、これはやりすぎです。
ここまで地下の根を切ったからには、地上の枝葉も同じぐらい、せん定するのがセオリーです。そうしないと、上下のバランスが取れないからです。
ただ、太い枝をこの時期に切断して、樹液を不用意に損失させることへの不安。また、葉っぱが1枚も残らない状態にするのもどうかという思いの間で、葛藤。そして、結局、地上部は手をつけなかったのです。
とにかくこれらは休眠期にやるべき作業です。絶対にマネはしないでください。
ポットに入っていた土は、鹿沼土が微量に入っている以外は、ほとんど赤玉土が崩れたものが入っているように見えました。
左上から
バークたい肥(真ん中の白粒はマグァンプK 2年肥効)50%
赤玉土小粒50%
ゼオライト 少々
完熟牛ふんたい肥 適量
できれば、ヨーロッパの品種なので、石灰も加えて、より中性に近い状態にした方がよかったかなと思いました。ただ、7月11日に酸性度計測したところ、ph6.6でしたので、よしとします。
鉢サイズは、スリット鉢10号(実質9号)としています。
先のビオレソリエスは、栄養成長を抑えるため、わざわざ小さすぎる鉢に植え直しました。一方のゼブラスイートは、一般のいちじく同様、しっかりとした新梢が育てば、年数を待たず結実してくれそうなので、鉢サイズは、株に見合ったものにしました。
植え替え後の状況
植え替えから、1~2週間後、枝の先端にあった貴重な葉っぱが、徐々に黄色くなっていき、、
すべての葉っぱが落葉して丸裸に。
ああ、あれでも、やっぱり生きてたんだ、、。
根っこをほとんど切り落としたのだから、支えきれなくなった葉を落とすのは、自然な生理現象です。もともと生気のない葉っぱだったので、新しい葉っぱが生えてきてくれないと意味がなかったわけだから、やはり、枝も思い切って切り戻しておく方が良かったかもしれない。いろいろ考えましたが、後の祭りです。
来春に再生することを願って、今できることは、ただ、水を与えるしかありません。
ただ、数週間、様子を見たところ、水を与えた後も、土の乾きがいまいち悪く、いちじくが水を吸っていない=枯死の恐れあり。そのうち、水分と栄養分を持て余した土から、雑草が生えてきました。
植え替えから1か月経った、6月22日の様子。
何の変化もないのに、ただ時々水やりを続けるというのは、つらいものです。
ただ、よーく見ると、新しく小さな葉っぱが!!
ちゃんと生きてたようで、ちょっと一安心。希望が持てます。
2週間後の7月5日。さきほどの、小さな葉っぱからかなり大きくなりました。みずみずしい緑の葉っぱで、やわらかい。
この葉は、V字型の枝のうち、細くしなやかな枝の方に出ました。しなやかな分、誘引しやすいので、斜めではありますが、できるだけ枝を横に倒した状態にしています。果樹にとって、横枝の方が、結実につながる新梢が出やすいためです。
もう一方の枝は、かなり太いため、強引に誘引すると、根付いていない地中に負荷がかかるため、タテ方向に放任したままにしています。
そんなタテ枝からも、新芽が出ました。しかも、タテ枝の途中の節から、出ています。横枝の葉(写真右)と比べると、随分小さく、勢いがないです。
ところで、いちじくの品種のひとつ「ビオレソリエス」は、頂芽優性が強く、タテ枝にしても、横枝にしても、枝の先端から2本程度しか、新梢が出ない習性がありました。
逆に、この「ゼブラスイート」は、タテ枝の頂上付近が最も元気のない状態です。根張り状況がまだ貧弱であることに対して、根から枝先までの距離が長すぎて、水と栄養が滞りがちなのかもしれません。
さらに数週間経過して、見違えるほどになりました。いちじくは、想像以上に、樹勢が強いようです。
さらに、タテ枝の節から新たな芽がふいているので、秋までには、枝全体に、葉が茂るかもしれません。成長がとても楽しみになってきました。
日々の管理
日当たり
現在、早朝から西日まで、日中はほぼ常時、日が当たっている状態です。実際は、屋根の形状の関係で、直射は6時間程度かもしれません。
ビオレソリエスと同様、西日を切って、午前中のみにするなどした方がいいように感じられます。午後以降の強い日差しに当てても、人間と同様、植物にとってもストレスにしかならないような気がします。
水やり
水やり計画に基づいて、2日に1回程度としています。ビオレソリエスのものと違って、大きな鉢サイズを採用しているので、水持ちがよく、葉はまだ小さいため、蒸散量も限られていると思われます。
また、病害虫の心配は少ないため、雨に当たる場所に置いています。
病害虫
今のところ、特に被害は見当たりません。
一方で、最恐の害虫テッポウムシ(カミキリムシ)の心配があります。
今後の管理
予想以上に、葉が茂ってきています。これにより、果実への栄養が分散する恐れが出てきました。1枚の葉の面積を大きく、また、これから伸びてくる新梢が太くてしっかりしたものにしていく必要があります。
芽かき
ひとつの節から、葉が何枚か出ている場所が見られるようになってきたため、栄養を集中させるために、近日中に、芽かきを行います。
追肥
5月末に元肥入りで植え替えたあとは、水やり計画に基づいて、液肥を1週間に1回ペースで与えていますが、固形肥を一度だけ与えておきます。
IB肥料(10-10-10-2 肥効1か月 商品名:「花ぼ~ろ」朝日工業)
施肥量のめやすとして、5号5粒 10号20粒程度とのことなので、鉢は実質9号サイズにつき18粒としておきます。
有機肥料は、土壌が酸性に傾くのと、分解までに数か月を要するため、今回は化成肥料にします。