いよいよいちじくの新芽が動き始めたので、急いで切り戻しと、切った枝を挿し木しました。PVP品は含まれませんので、法的にも問題ない挿し木です。ただ、挿し木は初めてなので、うまくいったら嬉しいな、程度のレベルです。ご参考まで。
いちじくとは
クワ科の落葉果樹。日当たりがしっかり確保できるなら、家庭でも育てやすい果樹の代表。漢字で「無花果」と書くが、果実の中心部分にできるつぶつぶが花(の集合体)。つまり、ブロッコリーなどと同じ感覚で、花も食べる果実ということになる。
夏に果実がなる品種と秋になる品種、その両方を兼ねる品種があり。春に芽吹いて、夏までの超短期間で果実をならせる夏果種より、秋果専用種が甘さがしっかりのりやすいとされるため、秋品種がオススメ。さらに、根域制限で樹木の成長をとめて、果実をならせやすいプランター栽培がオススメ。越冬時は外に放置すればいい。
切り戻しとは
前年・前期の花実のために伸びた古い枝を、植物の品種や時期に応じて、ある程度、短く切る手法のひとつ。枝を短く切ることで、樹の若返りを再現するようなイメージ。逆に、植物は切らなければ、老化する一方とも言い換えることができそう。
植物の休眠期中(の後半=越冬後)に、思い切った切り戻しを行うことで、一般的にイメージされる樹形を整える目的の他にも、春の活発な芽吹きを促進する狙いがある。
一方、植物の活動期中でも、生育が旺盛で、繁茂している植物の場合(バラや草花など)、次の花芽の促進・株の疲れ回避・梅雨や盛夏の病害虫回避などで、切り戻しが必要な場合も一部ある。
いちじくにとっての切り戻し
いちじくは、春の新梢に葉をつけ、その葉一枚に対して、果実ひとつをつけるのが原則なので、新梢を出させるための切り戻しが大切。
逆に、切り戻しを一切しない場合、新芽は一応出るが、元の枝を超える枝を出せないため、その枝ぶりも葉数も年々貧弱になる。当然、果実も小ぶりになり、最終的に結実をあきらめて、春になっても樹が休眠状態に陥ることがある。(葉や実ができないことの理由として、切り戻しの他、根の更新や、肥料不足も関係あり、併せて対策する必要あり)
いちじくは、一枚の葉が大きいため、枝が密生していると、葉が重なりあって光合成が最大化されない。葉が混みあうと、各葉が小さいか、葉が黄色くなる。そうすると、果実も肥大化できない。そのため、近接する枝は落葉期に根元から切り落とす「透かしせん定」も必要(若葉が出る生育初期に、成長を阻害しそうな新芽をもぎ取ったり、枝を透かしてもOK)。
ビオレソリエス
2022年1月にグリGOから取り寄せました。棒苗からの栽培スタート。棒苗をまったく切り戻さないうちに、新梢が伸び始めてしまったので、22年はそのまま成長を見守ることに。
ビオレソリエスとは
「ビオレソリエス」は、フランス原生。Violette de Solliès(ヴィオレ・ドゥ・ソリエス =”ソリエス村の紫”)。ソリエスは、ニースやカンヌの南西部にあたる、地中海沿いの、年間通して暖かい地区。秋にのみ実をつける秋果専用種。
果実自体は大きくなく、収量も少ない。そもそもビオレソリエスは、果実を成らせるより、樹木の成長を優先する品種であるという。また、イチジクの中でも晩生の品種のようで、果実が成熟する前に、日本では秋冬が到来して、光合成効率や気温が低下してしまう。そのため、素人には収穫自体が難しいとされる。そういった背景もあり、流通量が少なく、希少価値があり、「幻の黒ダイヤ」とも呼ばれる。プロの収穫時期めやすは10月~11月上旬ごろ。
切り戻し作業
3月末に、垂直の枝は残して、Y字の上枝2本はひと芽残して、切り戻します。ビオレソリエスは、横枝を出させる意味がほとんどないらしいです。よって誘引はしません。
枝先に、Y字が2つできた格好になりました。それぞれの分岐から新梢が少なくとも1本ずつ立ち上がってくると予想。このビオレは、誘引はせず、枝を伸ばしたい方向に任せて成長させます。現時点で、鉢中の根っこがぱんぱんに張ってるので、今年は思ったほど枝が伸びないかもしれません。
棒苗が長いと、自重で勝手に枝が曲がってくるんですね。このまま誘引しなくても、主枝がだんだんと勝手に横方向に曲がっていきそうな。そのうち株元付近の腰が曲がった辺りからまた新梢で出てくるのかも。
ゼブラスイート
2022年春に近所のホムセンで激安で手に入れてきました。長年放置されたままだったようで、春になっているのに、枝も葉もまるでついていない、仮死状態でした。
ゼブラスイートとは
「ゼブラスイート」は、フランス原生。秋にのみ実をつける秋果専用種。ゼブラスイートは、9~10月ごろが収穫期。
海外ではPanacheeの名称で流通。日本では、親しみやすい名前で販売促進させるため、ゼブラスイートと名付けられたと思われる。熟した果実の表皮は、うすい黄色を帯びている。名前のゼブラに示されるように、結実の初期段階には、緑のしま模様が入っているのが特徴だが、成熟するにつれて、その模様が薄れていくため、残念ながら収穫物にはゼブラ感はほぼゼロ。
切り戻し作業
白い枝が購入前から伸びていたもの。株元付近の方が元気に新梢が伸びています。枝先は頂芽優性で、いくらか芽が待機していますが、下ほど元気がないですし、途中の芽がほとんど動いていないように見えるので、3月末には、8割ほど切り戻します。
古く立ち上がった白い枝2本を大幅に短く切り戻しました。
さらに、切り戻す際の基準として、昨年新しく出ていた枝を少しだけ残す形にしています。このことによって、左右のY字の分岐付近から、新梢が立ち上がってくると予想。できれば、誘引で、枝先が下を向かない程度に横方向へクセをつけてみるつもり。
カルスメイトなどの、ゆごう材は塗りませんでした。
ロードス
ロードスとは
「ロードス」は、ギリシアのロードス(ロドス)島原生。ロドスは、トルコの目と鼻の先にある島。果皮は淡褐色、果肉は鮮烈な赤。皮ごとひとくちで食べられるとのことで、皮の薄さも特徴。そして糖度は30まで乗るという、それが本当なら異次元クラスの極甘いちじく。
切り戻し作業
元々がそんなに長くなかったので、およそ半分超、切り戻しました。枝先から、2~3本、新梢が出てくると予想。各枝の先端が下を向かない程度に、ヨコ方向へ誘引する予定。
挿し木とは
切り枝から発根させて、植物のクローンを作る技術。枝は充実した古い枝の方がよいとされる。芽(節)は少なくとも2つ以上残った状態で切って、下の節か切り口から根、上の節から新芽を出させる。エネルギー消費と蒸散させるだけなので、葉は基本的に不要。雑菌が少なく、乾燥していない環境を用意することが必要。
挿し木づくり
土に挿す枝を作っていきます。
節を2つ以上残して、すべての挿し枝の長さがほぼ同じになるようにカットしました。挿し口は斜めに切り込み、断面積をできるだけ広く取り、頂上は逆に断面積を少なくして、乾燥を防ぎます。挿し口側の切り込み方は、いろいろ種類があるようですが、わたしは単に斜めになるよう、鋭利に切りました。
使用した枝は、古い枝も新梢も、いろいろ用意してみました。どれが成功するか分からないため。全滅の可能性もありますが、どうなるか楽しみです。
我が家は3品種あるので、切った枝の品種がごちゃまぜにならないようにだけ気をつけて、管理します。
水あげ
メネデール100倍希釈の水に1日漬けて、枝に水を吸わせます。本来は2時間程度で十分。わたしは夕方に作業を始めてしまったので、仕方なく1日漬けることになってしまいました。漬けすぎると、水が汚れて、雑菌が繁殖しやすいと思います。水から取り出す際、一度綺麗に洗った方が良かったかもですが、そのまま土に挿してしまいました。ただ、1週間後に様子を見ても、幸い、カビなどは発生していないようです。
挿し木
挿し口が雑菌に犯されないように気を遣った方がいいらしく、土にずぶっと挿すのは避けました。できるだけ断面が傷つかないように、挿し木の周りに、挿し木用の土を回り込ませるようなイメージで作業。枝間隔が狭いので、かなり作業がしづらい。
垂直でなく、斜めに挿すものもよく見かけますが、違いはなんでしょうか。枝への負担が少ないのかな。発芽トレーに挿す時点で、斜め挿しとか無理です。。
乾いた挿し芽用土に水を含ませるのも苦労しました。基本的に底面吸水すればいいと思います。さきほどまで枝は水に浸かっていたのだから、ハス口でやわらかい水を上から与えてもいいかも。この場合、用土が流れ出さないようにだけ注意が必要。
発芽トレーが巨大なので、乾燥させないために、衣装ケースの中に収めました。この状態でフタをして、明るく、直射の当たらない部屋で保管します。
今後の管理
新梢の整理
・ビオレソリエスは、枝先の節から2~3本、新梢が出ると予測。枝は整理しない予定。今年も結実はしないでしょうか。もし晩生のビオレが結実しても、長い日照と気温が確保できるか心配です。
・ゼブラスイートは、枝を横張りにできる予定。来年は、その横枝の各節から新梢が立ち上がってくれば、結実アップも期待できます。横枝の節の間隔が短い場合は、新芽を少なくとも、ひと節ごとに間引いて、1枚の葉を大きく、果実を充実させます。
・ロードスは、主枝の先端から2~3本枝が出るはずなので、その枝を横に伸ばして樹形を作る一年になります。枝や新芽を調整するような作業はない予定。結実はまだしないと思われます。
挿し木
毎朝1回は、きりふきをして、乾燥を防ぎます。どのぐらいで根が出るのか不明ですが、鉢上げまで1~2か月はかかるかもしれません。
関連リンク
グリGO楽天市場店
「グリーンでGO」は、苗木専門店。三重県の巨大ホームセンターが運営。最近よく利用してます。植え替えシーズンに全く向いていないような時期にセールされるので(楽天スーパーセールに便乗されるのでさらにお得)、取り寄せても、収穫は来期以降と考えて、それが耐えられるならお得です。果樹なら12月~3月上旬が取り寄せの適期で、その期間のセール情報をじっと待ちます。セット品をのぞいて、ほぼ全品、送料別。近所のホムセンにはない品種も多いので、その分の手数料と考えるか、できたら4~6株ほどまとめ買いできるなら、その方がいいかも。
・ビオレソリエス1年生 ・ゼブラスイート1年生 ・ロードス1年生(売り切れ)