最終更新日 2024.03.26
およそ10年ぶりに、じゃがいものタネいもを畑に植え付けました。種芋の選定、芽出しから、畑への植え付けまでをリポートします。
じゃがいも
一般的なデータ
ナス科の野菜。〇〇イモ科、とかじゃないですよ。じゃがいもの花が、トマトやなすとそっくりの形状ですので、花を見て初めて、やっぱりナス科だったのねと納得します。二期作可能なようですが、春作の方が作りやすいとのこと。
じゃがいもの栽培は、初心者向きで、カンタンとされてます。基本、ほったらかしでも良く、虫害も少なさそうですし、確かにカンタンな部類かもしれません。
珍しく酸性土壌を好む野菜なので、石灰は入れません(pH5~6程度)
植付け適期:2月下~4月上(中間地)
収穫期:5月下~6月下(中間地)
過去の栽培歴
野菜づくりに取り掛かった、およそ10年前に、じゃがいもを初めて栽培してみましたが、大失敗に終わりましたw え、初心者向きだったんじゃ。。それ以来、二度とやらないと心を閉ざしていたのですが、この度、栽培リクエストを頂戴しましたので、リベンジ栽培です。
失敗の自己分析として、土地の水はけがよくなく、イモが腐る等して、多収とはいきませんでした。日本の多くの畑は、元々稲作だった場所を、畑に転用している箇所が多いと思われ、水はけがよろしくないのは、よくあることです。対策としては、高うねにすることと、水が目に見えて貯まりがちであれば、1%の勾配をなんとなくでもつけてみることです(←勾配の話を、畑の貸主にさんざん言われた。。)
ただし、栽培期間中、土寄せを何度か行うことになるので、最初に張り切って、山脈のような高うねにしない方がいいですよ。
それから、「やさいの時間」でたびたび、”溝施肥”が紹介されるんですが、水はけの悪い土地で、溝施肥をすると、空気が入らないからなのでしょうが、肥料やたい肥が微生物に消費されずに、いつまでも残ってしまうので、わたしは溝施肥を嫌ってます。
植え付け日より前に、肥料と土をなじませておくか、計画的に進められない私のような者は、追肥で対応すればいいのかなと考えてます。
品種の選定
じゃがいもの種類も実に多いようですので、せっかくなら品種にもこだわってみたいです。
わたしの注目ポイントは、多収性とタネいもが小さいこと。
とにかく、いもがいっぱいできた方が嬉しい。フライドポテトとか好きですが、家では、1年に1回も料理に使わない野菜です。なのに多収がいいってw
多収の代表例:ダンシャク、メークイン、レッドムーン、出島など
それと、タネいもが小さいのを良しとする理由は、面倒なカット作業をしなくて済むという点と、種イモがカット面から腐っていくリスクを取るのがイヤなので。
イモが小さい代表例:キタアカリなど
で、今回選んだ品種がこちらの出島(デジマ)と、キタアカリです。
レッドムーン、シャドークイーンも前から狙っていたのですが、農業専門店でも置いてない。そんなにレア品なのかな。そんな中、先日「やさいの時間」で美味しそうに紹介されたので、余計に欲しくなってしまいましたが、今のところ、通販で取り寄せてまでジャガイモを育てる気にはなれず断念。。
キタアカリ
- 藤田テキストによると、育てやすいとのこと。野菜で育てやすいと言うと、たいてい、早生種を指すことが多く、栽培期間が短いから管理がラク、と読み替えることが多いです。
調理ジャンルは選ばず、万能タイプのようです。
イモが小さく、3月上旬時点で、芽がすでに結構出ていたので、即決しました。
高温に弱いようです。ジャガイモをはじめ、夏野菜の栽培に向いた気候環境ではなくなってますから困ったものですね。
出島
先出しの分布図で紹介されていないので、変だなと思って、藤田テキストを確認すると、秋栽培向きらしいです。。なんじゃそら。ホムセンで売ってるじゃん。春栽培するなら、栄養分散しないよう、芽かきをしっかりすればいいとのこと。
春作はややしっとり系に仕上がる模様。多少、煮崩れのしやすさはあるものの、それでも煮物向きだそう。分布図の位置で言うと、インカのめざめ辺りかも。
サイズにはバラつきありましたが、小芋もそれなりに入ってるっぽいので、こちらに決めました。
高温に特に弱いようです。24年もGW前後から始まりそうな爆暑のせいで、全滅の恐れも覚悟しないといけないかもですね。。マルチ栽培は避けた方がよさそうか。
植え付けまでの作業
タネいものカット
種イモが、めやす50g以下になるよう、ふたつにカットし、数日かけて乾かしておきます。カット面に草木灰(そうもくばい)をたっぷりつけると、乾燥不要らしいですが、そのために草木灰を買うのもイヤなので、わたしは乾燥派です。
出島の大きい種イモだけ包丁でカットしました。乾くと表面が少し粉がふいたようになりますが、カビではなく、デンプンが表面化しただけなので心配しないでください。多少カビたとしても、イモが腐敗するようなことはないはずです。
芽出し
発芽をできるだけそろえるため、植え付け前に、暖かい場所で、タネいもから発芽するように、光を当てておきます。
出島は少し物足りない感じあり。キタアカリは十分。あまり暖かくない場所で芽出しをしたので、2週間経ってもこの程度なのかなという感じです。
あまり長い芽を出しすぎた場合は、植え付け前に芽かきをしておきましょう。
植え付け
冬の間、手入れをしていなかったので、春に向かって草だらけに。。ここは、ソラマメのタネを寒くなってから直まきしておいた場所なのですが、ソラマメは、2苗だけ育ってました。
残肥はそれなりに残ってると思われるので、肥料はほとんどいれないでおきます。カリだけ投入しようと思って、硫酸カリウムを買っておいたのですが、畑に持ってきたのは硫安でした爆。。パッケージ似てるし、「硫」の字だけあってるわ。。なお、間違えて硫安を投入すると、つるボケ状態になると思うので、ご注意ください。
むしろ窒素は少なめに。というのも、「いも・まめ専用肥料」なるものが売っていたので、つまり、豆と同じぐらいの成分比でいいんだということを知りました。だから、豆と一緒のうねで育てても、肥料の相性はいいはず。
なお、じゃがいもに関して、酸性土壌を好むので、石灰は入れないようにします。
キタアカリ
とりあえず草をはぎ取ります。スピード重視で、そこまできれいに草取りしてませんが、たぶん大丈夫。そして、たねいもを地表に置いていきます。この後、わたしは種イモを足で踏んで、土にめり込んだ状態にしました。
藤田テキストによると、15センチほどの穴に埋めます。その後、種芋から芽が上がっていき、地表に出ていきます。この種イモと地表まで伸びた茎(10~15センチの区間)からイモが発生していくので、ちゃんと埋める方がいいでしょうね。数回、土寄せを行うので、実際は20~25センチほど埋まった茎になると思います。
わたしの場合は、後日、地中に埋めなかった分の土寄せも行う必要が出てくると思います。今回は、翌日から雨が続く予報で、4月ごろまで植え付けができそうにない予感がしたのと、日暮れ前の限られた時間での作業でしたので、一刻も早く、暖かい畑で芽と根を早く伸ばしてもらう必要があり、このような形で植え付けました。
なお、株間は30センチ。条間も30センチの千鳥植え(隣の苗と半分ずらし植え)にしています。
出島
出島は、種イモの半量がカットしたものです。カットしたものを地中に埋めると腐れの原因になりかねないと考えているので、これは地表面に置いた形でも悪くないと思います。カットしたタネいもから出た芽は、一旦地中に突き出た後、Rを描きながら地表に伸びてきます。
どっちみち、芽がしっかり伸びてきたら、土寄せしてやらないとですね。
春の出島は、他品種と比べて、芽が多く出やすいらしいので、土寄せ前の芽かきも重要です。芽はしっかりしたものを2~3本残します。できれば、3本より2本の方が、風通しもよくなり、イモも大きくなるのでは? 一度芽かきした後も、追加で伸びてきたものを見つけ次第、随時かき取っておきます。
マルチをかけておくことで、太陽熱で一気に加温され、芽がよく伸びると思います。24年は、3月末から4月上旬にかけて、雨が非常に多い予報なので、雨による腐れから種イモを守る効果も狙っています。
芽が伸びてくると、マルチを押し上げてきますが、芽が出そろったのを確認した時点で、この黒マルチは、全部はがす予定です。というのも、24年も昨年同様、いきなり酷暑が始まると、おそらく地温が上がり過ぎて、じゃがいもには強烈なダメージになりそうな予感。
また土寄せ作業するには、マルチがあると、非常にやりづらくなります。苗数が少なければ、なんとかなりますが、多いと、あまりに非効率です。
また、はがしたマルチを別の野菜に利用すれば、資材の節約にもなります。
プランターでの管理方法
プランター栽培される方のためにも、参考情報を掲載しておきます。写真は、ホムセンに掲載されていたポップです。
栽培期間中、土寄せ(株元に土をかぶせてじゃがいもを増やす)作業を数回行いますので、プランター栽培は、最初に投入する土の量を、ぐっと減らしてスタートさせるのがポイントになりそうです。
土寄せしないと、じゃがいもが地表に出たまま、育ってしまうことがありますが、色の悪い(実際には緑色の)じゃがいもができてしまい、毒性があるとされていますので、いもが日光に当たらないようにするための作業でもあります。もし、緑色のいもができたとしても食べなければいいだけです。
写真にもある通り、芽がしっかり出るまでは、水やりは控えましょう。
今後の管理
水やり
畑では基本的に水やりはしません。
プランター栽培の場合は、しっかり発芽したタイミングから、適度に与えて、いつ見てもずぶ濡れの状態とならないように、水やり頻度を調整します。ただ、鉢や袋栽培は、このところの暑さだと乾きは異常に早いはずなので、案外まめにやる必要があるかもです。
肥料
残肥を考慮して(手違いもあり(;’∀’))、今回、元肥は入れていません。追肥には、硫酸カリウムのみ投入する予定です。なお、安価な塩化カリウムは、食味の観点から、イモとの相性がよくないようなので、与えないようにします。
なお、藤田テキストでは、株間に30g/㎡の化成肥料をばらまくこととしています。30gは女性の手サイズで一握り程度。
1回目:植え付けから1か月後(芽かき後)
2回目:花前
マルチはがし
マルチの穴あけまたはマルチをはがします。本来は穴あけでいいと思います。水分量や雑草の抑制に効果があります。ですが、酷暑や土寄せを考慮すると、マルチがない方がより良いかもしれません。
植え付けから2週間後がめやす
芽かきと土寄せ
地上部ばかりが旺盛にならないように、茎を2~3本だけ残す芽かきを行います。植え付けから1カ月後。
芽かきの後に、株元へ土を寄せて、いもができる範囲を増やすことと、いもが日光にさらされないようにします。
新たに茎が伸びていたら、芽かきをして、2~3本をキープします。
関連リンク
わたしが実際に使用している農業資材や販売店などのプロモーションを行っています。
本文でも何度も登場した藤田テキストとは、こちらの書籍のこと。野菜づくりのバイブル。これさえあれば、大概の疑問は解消されます。
プランター栽培される方に特化した野菜作りならこちらの方がおすすめです。こちらは電子書籍化されていて、スマホで見られるのもありがたい。