最終更新日 2023.02.03
2023年1月27日、高知県南国(なんこく)市にある「西島園芸団地」に行ってきました。え、団地ってなんだ??
西島園芸団地
で団地って、何?w
高知市の東隣に、南国(なんこく)市があります。その中心部から周囲には広大な田畑が広がっています。その中心から少し北へ行ったところに「西島園芸団地」があります。
名前からして、園芸に関する場所ではありそうですが、いったいどんな場所なのか、イメージがわいてきません。団地ってなんなんでしょう。
ネット情報では、すいかやイチゴのフルーツ狩りができる場所だそうです。ただ、寒波が来てるときに、フルーツを積極的かつ大量に食べたい気分でもなかったわたし。。他に苗類を売ってるようだったので、そこを期待して訪れました。
冬ということもあって、辺り一帯は、何も栽培されていない、広い田畑が広がっています。その真ん中に、ビニールハウス群が立ち並んでいました。
その中のメイン棟と思われる店舗正面は、レトロ感漂う外観。その前の駐車場には、ポツポツ車が停まっているものの、道路もビニルハウスも、ひと気は感じられず。正直、来て失敗したかなと思いましたw
店先には、パンジーやビオラが並べられていて、どこにでもあるホームセンターの園芸コーナーと変わらないのか?余計に不安に。。
ガタガタと音を鳴らしながら自動ドアが開くと、メイン棟と思われる温室内は、暖かい空気と温室らしい、しっとりとした湿気が。そして、室内もやはりレトロ感が漂ってはいますが、それより、さすがは温室。中の様相は急に春先の雰囲気。
一番意外だったのは、割とお客さんで賑わっていたこと。ごった返すような賑わいではありませんが、さびしい村の雰囲気とはまったく違いました。平日にも関わらず、5分に一組ぐらいのペースで、若いカップル、家族連れ、赤ちゃん連れのママ友が遊びに来ていました。若い人が割と次々入ってきていたのが一番の驚き。
多彩なブーゲンビレアの世界
これと言った強い目的もなく団地を訪れた私にとっては、入り口入ってすぐのコーナーに並んだ平凡な植物を見ても、なかなか興味がわかず、少々冷め気味になりかけてました。そんなわたしにスイッチを入れてくれたのは、このブーゲンビレアの花々。
団地のブーゲンビレア
かつて、南フランスで咲いているのをよく見たんですが、日本では沖縄以外で見る機会もないだろうと思っていたので、テンション爆上げMAX⤴⤴⤴ まさか高知で会えるとは!!w
しかも見事に咲き誇ってます。これだけの花数なので、幹や枝ぶりもすごく立派です。
さらに花色がここまでバラエティに富んでるものとは知りませんでした。赤紫系に見慣れていたので、清楚な白系もなかなかいいですね
今まで、ここまでまじまじと眺めたことがなかったので、どんな花の形をしているのか知りませんでしたが、どうやら花だと思っていた部分は、「苞(ほう)」がついているようですね。中の筒のような部分が真の花です。しかも花は3つあって、どうやら時間差で順番にひとつずつ咲いているように見えます。同時に咲くんじゃなくて。へえ~
ちなみに、似たような咲き方をする花として、思い出すのがアジサイ。あの花びらのような部分、あれはよく知られる通り「ガク」です。一方、ブーゲンビレアのガクは、中心の花の、緑の円筒部分がそれと思われます。なので、花びらに見える部分が実は花びらではないにしても、構造自体は同じではないということが分かります。
売店からにょきにょき突き出したブーゲンビレア。というか、ブーゲンビレアが生えている場所に売店を後から建てたと思われます。
これだけ大きな樹もすっぽり入るぐらい、高さも奥行きもある温室です。
一番衝撃的だったのは、黄系の花。もうびっくりびっくり。綺麗です。
参考)地中海のブーゲンビレア
ここで、わたしがかつて撮ってきたブーゲンビレアの写真も掲載しますので、比較して見てみてください。
ご覧のとおり、ヨーロッパのブーゲンビレアは、大抵、壁(石垣)に這わせるように、枝が伸びている場合が多いようでした。枝ぶりについては、相当密に絡み合っているようです。この大木の重量に耐えられる構造物でないと、支えきれなさそうです。
団地ではなんとブーゲンビレアを販売
さて、再び西島の様子ですが、さらにびっくりだったのは、ブーゲンビレアを売っていた!1ポット500円、安っ。ほしい
マグネシウム不足なのか、状態がいいとは言えませんが、それでも花はつけてますね。樹勢自体は強いのかも。
買うか迷って、苗を最終的にひとつ選びはしましたが、年間通して5度以上をキープすることと、我が家でできるだけ活き活きと枝を伸ばしてあげることができるのか、考えてみると、ちょっと躊躇。結局、購入は棚上げに。
写真のように、切り戻し切り戻しを繰り返して、室内でコンパクトに育ててみてもいいのかなぁ~。次行ったらやっぱ買うかも。
巨大ビカクシダも見てほしい
ここの温室のビカクシダ(コウモリラン)も、かなり立派でした。最大のものは、”園児ぐらいの大きさ”は余裕であるんじゃないですか。実は、前日に「牧野」でもビカクシダを見てきたんですが、それよりまだひとまわり以上、大きかった。「牧野植物園」は、熱帯を再現した立派な巨大温室で栽培されていましたが、こちらは観光農園の一温室で、管理にさほど気合は入っていないように思われ、それでもこの成長ぶり。しかも見学だけなら特に料金は取ってないですからね。どゆこと?
ゴムノキに着生させていますが、この親木のゴムノキも立派だな~。温室とは言え、本州でもここまで大きくなるものですかねえ。ゴムもシダも迫力がすごいです
そして、例によって、販売もされていますが、1株2,000円前後って良心的じゃないですか。雑貨屋さんで、5~10倍くらいで売られていたのを見たことがあります。高そうな台木についてて、周りのインテリアもオシャレに決まってれば、価格が跳ね上がってても買う人がいるのは納得です。
ビカクシダは、ポット管理もできるようですね。着生ではなく、培養土に植わってます。他店でも確認したことあります。普通に土の中に根を伸ばしているんでしょうか。
ちなみに奥に映っているのは、食虫植物のウツボカズラです。取扱量がものすごいですね。そして、店先には、枯れた大量のウツボカズラが放置されてました。。なぜに~
マメ科の街路樹に出会う
先に下の2枚の写真をご覧ください。
オオゴチョウ
エバーフレッシュ?と思われた方、惜しい~。
確かに、本州では室内の観葉植物のひとつとして有名な、エバーフレッシュの葉に似ていますが、ちょっと違うんですね。実際、葉の形はこちらは少し丸みを帯びており、名前が「オオゴチョウ」とのことです。花は、赤ベースに、花びらの縁(ふち)が黄色を帯びています。花でも咲かない限り、なかなか初見で、言い当てるのは難しそうです。
植物の分類方法によって、マメ科あるいはジャケツイバラ科とされるようです。
つまり、種子として「豆」ができるんですね。マメ科の樹木は、巨木に育つので、豆の大きさは、碁石並みです。完熟すると真っ黒なので、本当に碁石のようなのです。沖縄現地で確認しました。ちなみにエバーフレッシュもマメ科なのです。
ちなみに、沖縄では、マメ科の街路樹がしばしば目につきますが、その多くは、「ホウオウボク」と思われます。私も先週まで知りませんでした。それこそ、初見では、エバーフレッシュかと思ってしまいました。ホウオウボクは、沖縄市の市木だそうです。だから街路樹として多く植えられ、愛されているんですね。
ジャカランダ
こちらこそ、エバーフレッシュかと思ってしまいますが、ジャカランダだそうです。さきほどの写真の中に、チラチラと花の写真のポップが見えていますが、この花色は淡い青です。そして、家庭菜園や草花でもよく見かける、マメ科のイメージにふさわしい形の花を咲かせます。
沖縄では、街路樹や自生した株としては、あまりお目にかかれない品種だそうです。逆に、本州の宮崎や熱海で、有名なジャカランダ並木があるとのこと。なるほどー
ちなみに「マメ科であるエバーフレッシュの花はどうなの?」って、気になった方もいらっしゃるかもですが、エバーフレッシュは、たんぽぽの綿毛のような白~クリーム色の花をつけます。緑の葉しかつけない樹木だと思っていた方にはびっくり情報でしたね。
団地の改善案を話し合おうかw
こんな風にいじられても、経営陣やスタッフの方は、いい気分がしないだろうけど、まずはこちらをご覧ください。
豚汁→せめてポリポット
いや、それにしてもですよ。いじってほしいのかもしれないw
「SDGsだ」と言われれば、絶句してしまうかも。これでも、しっかり商品として販売されているのだから(1鉢300円)、衝撃というか驚愕というか。
この写真にお店のすべてが現れていると言っても過言ではなく、全体として、こだわりが感じられないんです。
<改善案>
・ポリポットか、スリット鉢(3~5号)に移し替え。プラ鉢を使うなら綺麗なものにして、そのまま部屋に飾れるようにする。豚汁やカップヌードルで飾りたい人はいないはず。。
・目に届き、手の取りやすい腰位置に展示する。2段にしない。奥の植物も見えやすく、視認性よくする。
・ポップをあちこちに貼らない。文字サイズは大きく、書体統一など、店全体としてポップのルールを決めて作成する。
ところで、そのポップに書いてあるとおり、実際、香りはよかったです。カレーや豚汁の香りではなく、アロマティカスは、甘い香りで、ミントのような爽やかさがあります。
枯れかけた鉢苗を手早く処理して損切り
ブーゲンビレアも、このハイビスカスも、マメ科果樹も、入り口付近に並んでいる鉢花以外のほとんどは、生育状態がいいとは言い難いです。
どうしてこうなったんでしょう。ここ最近の寒波の影響? プロの温室で育てても、南国の植物がこの有り様では、一般家庭での結果は見えてますよね。でも、気温の問題より、肥料不足や、せん定してこなかったなど、対処できそうなことは、いくつか見受けられるので、やはり、日頃の管理不行き届きが原因なのではと思います。
<改善案>
・綺麗にせん定する。1鉢あたりの枝を数本に間引き、伸びすぎた枝も切り戻す。高さをある程度そろえる。こんなに黄化させて、花芽とか二の次だと思う。
・鉢の中に生えた草や苔、落ち葉を取り除く
・できたら土替えと少量でも化成肥料(今吸うか吸わないかは別として、少しでも回復させないと、ますます売れなくなる)
・地面にコンクリートブロックを敷いた(水はけを低予算で確保したと思われる。トレイがあることからハイビスカスは乾かさない方が良さげっぽい)、ほぼ地べたに並べるのではなく、腰位置の高さの台に並べて販売する(苗がもう少しコンパクトになったことが前提)。立ったまま見たり、買い物ができる状態に。
・ここでは「ハイビスカス」「オリーブ」「フィカス」とグループ別にはっきり分けて、それぞれの鉢に手が届くように空間を作る
・鉢の管理方法をメモで持って帰られるようにしておくか、QRタグをつけて管理方法のページへジャンプするようにしておく。
・落ち葉などのごみ、鉢トレイに敷いた汚いビニールを取り除く。
いつまでも「おつとめ品」や「養生中」の在庫を抱えず、さっさと損切りして、資金と空間を確保してください。
果樹ディスプレイは廃棄処分
レモンのディスプレイは、葉が黄化してしまっており、そもそも肥料~マグネシウム不足が考えられます。気温によるものではありません。株元に石ころを敷いてらっしゃる時点で、固形肥料を与える習慣がないものと想像します。液肥で生育が間に合うような植物ではありません。
また、右に至っては、スス病を放置した跡も見られます。他の植物でもスス病は見られました。園芸店でこんなに放置してるのは正直珍しいと思います。店内で病気したり元気がない植物があるいうことは、ここで買った商品を持ち帰れば、家の植物まで伝染する可能性は十分あり得ます。
奥にテーブルが並んでますが、これを見ながら食事しても、元気が出るどころか、汚らしいので見たくないですよね。
その奥に大量に並んでいるポット苗も、ほぼすべて「養生中」と書いてありました。わたしには放置しているだけに見えました。レモンがこれですから。
<改善案>
・レモンを回復するのは時間がかかり、店の印象やスタッフの負担にも関わることなので、手っ取り早く廃棄。
・果樹や大輪の花など、水や肥料をたくさん必要とする植物は、初めから展示しない。
・果樹の苗木販売も中止する
・レモンを回復させるなら、鉢に植え替えてバックヤードへ移動させる。またその方が結実しやすい。病気を取り除いて、葉色が悪いものは肥料で回復させる。根が弱ってなければ、せん定はしない。
・この辺りのテーブル席は撤去(見ていただくものがないなら)
バナナは育てたことがないですが、これを見て想像する限り、最後の最後で、肥料と水分が足りなくなった(急に世話しなくなった)のかも。果実を収穫すると枯れる運命の植物なので、取らずに成らせっぱなしなのかな。わかりません。
<改善案>
・南国感があって、株も立派で、確かにもったいないけど、切り倒して、小株で次の株を育てた方がいい。このバナナも汚らしくなりつつあるので。
・手がかけられないなら果樹の栽培は避ける。
団地の魅力を秒で理解させる
これは再び、初めの写真。この空間は、店内で一番すっきり整っている場所ですが、それでも、鉢を置く場所のルールが定まっていないなど、少し気になる部分があります。
<改善案>
・同じ品種、同じ科の植物でまとめる。素人の庭のように、理由もなく、とりあえず適当に鉢を並べない。
・この通りに堂々と並べられないレベルの、”おつとめ品”あるいは「養生中」の鉢はバックヤードへ移動(現状は、見苦しいから温室内の外周にずらりと並べているが、店内に置いていることに変わりないので、結局客の目に止まる)。温室入り口前の枯れた商品も一掃
・花は花台、多肉はブロック塀など、設置場所に規則性を。
・ブーゲンビレアを見ながら飲食する、花好きな人に花鉢を訴求できるようにテーブル席周りに花をディスプレイ
・いちご狩りの料金表を、温室の外の入り口付近に大きく掲示(現状は温室入って、通路を少し進んだ、ど真ん中に唐突に置いている。それまではいちご狩りしていることも料金も不明)。今日は何が楽しめるのか、この先2か月間のイベントカレンダーも掲示。
・ブーゲンビレアの株元に「電解水」の説明書きのイーゼルがあるが、これも入り口入ったところに掲示。温室の外には「不純物ゼロの水を使ったフルーツは絶品」とか、難解な”電解水”というワードを使わず、短く分かりやすくアピールして、他社の果物狩りとの違いを出す。
・温室の外は、人が出入りしていない限り、営業しているかも分かりにくい(入るのが怖い)ので、「いちご狩り」「営業中」など、もっとわかりやすいのぼりを立てる、掲示物の文字を大きく華やかに、古いポスターなどを捨てて綺麗に整理など、清潔さと賑わい演出
西島園芸団地は、改善されれば、注目度も売り上げも見違えるんじゃ?と思ってしまうので、もっと魅力的なお店になってほしいです。
西島園芸団地まとめ
スイカやイチゴのフルーツ狩りを主体とした高知県南国(なんこく)市の観光農園。客が自由に出入りできるメイン棟(カフェ・売店)は、テニスコート2面程度の大きさ。その温室内では、フルーツ盛りを注文して食事したり、花苗を購入したりできる。フルーツ狩りの客はその隣接する温室へ移動する。
ブーゲンビレアを鑑賞したり、新鮮なフルーツを食べたい方、ちょっとした鉢花を買いたい人には、満足できる空間。
たくさんあるビニルハウスのひとつに、マンゴーらしき樹形も見られたので、こういった高級果樹の販売も経営の柱のひとつにされていると思われる。
アクセス
・JR高知駅から車で20分
・JR後免(ごめん)駅下車 バス停後免前から植田方面へ。
・とさでん後免西町下車 バス停後免西町から植田方面へ。廿枝坂(はたえだざか)下車 徒歩15分
バスの時間が2時間に1本程度なので乗り継ぎタイミングは要注意。バスや「とさでん(路面電車)」は、運行時刻に遅れが出やすいので、余裕をもってお出かけください。
入場料
・なし
・参考)いちご狩り おとな1,780円(2023年1月27日時点)
※いちごがなくなり次第終了
決済方法
・未確認
トイレ
・駐車場に少なくとも1か所あり