最終更新日 2023.01.15
2023年が明けました。日本の正月をお祝いするお飾りや、象徴的な道具や工芸品などは、植物に由来するものがほとんど、というかほぼ全てと言ってもいいのでは、と思います。
そんな中のひとつ、町ブラで出会えるお正月ならではの植栽「門松(かどまつ)」のフォトを、京都の中京区(なかぎょうく)で、目に止まった範囲で、少し集めてみました。
門松とは
門松は、お正月に神さまが寄られる(依り憑く)場所です。主に松のような長寿の常緑樹をメインにした飾りになっており、意外と、こうでなければならないといったルールのようなものは特にないそうです。そう聞くとお正月の門飾りを自分なりのアレンジで気軽にやってみたくなりますね。
門松コレクション中京区2023
たった数時間、ぐるっと歩いてみた結果、目に飛び込んできた門松、あるいは、門松らしきお飾りを、恐れ多くも私なりにグループ分けして、ご紹介します。
伝統的スタイル

私たちがイメージする、いわゆる門松。特に大きな資本のホテルや、個人の飲食店等で見られました。特に大手のホテルでは、大きく、格式的なお飾りでもって、他社ライバルたちと競っているようにも見えます。何より、お客様の目を楽しませる、華やかなお正月飾りになっていることに違いなく、映えスポット化していました。入り口の両側へ、対になるように設置されます。

こちらの個人店でも門松が対で設置されていましたが、南天の植栽とも併せて、飾られていました。「難を転ずる」という意味でも、正月に限らず、縁起の良い常緑樹の南天です。門松にも南天が用いられていますね。ちなみに我が家でも庭木として育てています。
門松の左上に白い花のようなものが点々と見えますが、これは梅の花です。この花を模した「花餅」あるいは「餅花」という門松の一部、あるいは、門飾りがあり、これも門松と同じく、神さまが迷われないようにする目印としているようです。梅の開花期は、2月初旬辺りからと思うので、正月飾りに、梅の花は、本来間に合わないわけですね。代わりに、丸い発砲スチロールのようなもので作られているお飾りを見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。わたしは、これに「花餅」という名があることを、大晦日に、aoyama flower marketの店頭で知りました(こちらでは「花もち」の表記)。そして驚くことに、こちらの商品は、餅らしきものが枝に巻き付けられているのです。店員さんに確認したところ、リアル餅を使用とのこと。ヮ(゚д゚)ォ! 全国の店頭でも見てあげてください。
(追記)「やさいのじかん(19.1.13放送)」によると、餅花は、稲穂に見立てているとの紹介がありました。//
さて話は小料理屋さんの門松に戻って、その梅の花の下を、よーく見ると、きのこが生えたような枝が飾られています。これも梅の枝で、きのこに見えるのはコケの一種。この苔の効果で、枝が古木に見えることから転じて、永代繁栄を表現しており、これも縁起の良いお飾りの要素のひとつとなっています。
ベースには、笹と葉牡丹(はぼたん)が飾られており、こちらの門松では、葉牡丹の白は、写っていない右側の門松にあります。



中京区で最も有名な建造物のひとつ、二条城の東門でも立派な門松が確認できます。
生花的スタイル

これを門松のひとつと括って差し支えないかは分かりかねますが、とってもオシャレでぜひご紹介したく。対となってはいなくても、存在感は抜群です。


一輪挿しスタイル

こちらはさらにシンプルですが、さすがお花屋さんというお飾り。気にしてなかったら、間違いなく素通りします。絵馬をつかって、柳が枝垂れないようにまとめて、扇型のバランスを取ってます。よね?他にツバキやロウバイ?も使ってあります。
写真には残してませんが、二日後に見てみたら、束にした黄唐辛子か何かを筒の口に添えて、目を引くアクセントをつけるアレンジをされてました。店主の気分で日々グレードアップしてるのかも。お近くならまた見てあげてください。
根引き松



わたしが拝見した限り、圧倒的にこのスタイルが多く、地面から引き抜いたままの松が飾られています。京都の古来からの風習が今も息づいているようで、小料理屋や旅館など、規模が比較的小さく、一定の歴史を感じさせる店先でよく見られました。
そういえば、歴史的建造物である二条城は、立派な”門松”でした。根引き松の存在を一度知ると、そのことが不思議にも思えますが、家康がこれを築城した17世紀は、門松の歴史からすれば、比較的”最近”とも考えられるので、二条城のそれが、いわゆる”門松”の形をしていても、納得できる、かもしれません。