枯れた、廃れた、見放された・・そんな悲しい植物を復活させる「再生シリーズ」です。
シリーズ第3弾は「西洋かぼちゃ」。
7月初めから始めた人工授粉が、その後どうなったでしょうか。見ていきましょう。
生育状況
前回までの振り返り
5月中旬に、スーパーで買ったかぼちゃのタネが、生ごみコンポストで自然発芽。そこから救い出した苗を、プランターに植え替えました。
ウリ科の栽培は、全般的に、そう簡単ではありません。水やりや肥料の過剰で、特に病気や枯れこみが発生しやすくなっています。また、水分不足は、結実不良に直結するため、大敵となり、何をするにもバランスの取り方が非常に難しい、デリケートな科目の野菜と言えます。
私にとってはかなり苦手なウリ科ですが、今回は発芽してしまったので、仕方なく栽培中です。現在、4号苗まで栽培(+コンポストで新たに5号苗が発生中。。マジ!?)
西洋かぼちゃとは
ウリ科、品種不明。
南米原生、具体的な産地不明。
つるっとした表皮で、スーパーでよく見かけるかぼちゃです。
現在の生育状況
栽培を始めてから、信じられないような猛暑の日々、そして梅雨の戻りとともに、大雨など、かなり過酷な天気が続きました。わたしが外出時に見かける、何軒かのお庭のカボチャたちは、水不足で枯れたり、おそらく過湿で溶けて株がまるごと消滅したりと、悲惨な状況でした。
うちも、株がある程度ダメージを受けることは当初から想定。保険として、2号苗以降を並行して育てていました。
7/20現在のつるの長さ
1号苗 330cm
2号苗 390cm
3号苗 150cm
4号苗 270cm
なんと全株健全! ウリ科が苦手な私にしては、快挙です。
3号の成長が極端に遅いのは、推測される理由がいくつかあります。
1)土の状態が悪い
2)午前中の日当たりが悪い
くわしくみていきます。
1)前年にさつまいもを育てて失敗。その後、土づくりをし忘れたまま、そこに、3号苗をすぐに移植する必要があったため、その土をほぼそのまま使わざるを得ませんでした。
さつまいもはどんな土でも育つと言われながらも、かなり水はけが悪い土でした。水が下に抜けず、ひとたび乾いた土は、水をはじいて通しませんでした。その原因は、土があまりにも細かくさらさらで、団粒構造になっていないためと思われます。
たい肥や腐葉土をしっかり補充して、微生物が住む土を作っておけば、それの出す体液で土と土がひっつくようになり、それが小さな団子状となって、保水性と排水性が両立する土に生まれかわります。鉢栽培で時間がなければ、中粒以下の赤玉土を入れれば、コストをかけすぎず、すぐ改善する手もあったと思います。
土が細かすぎて、すき間がないので、根張りも悪いのではないかと思われます。また、隙間がないことで、空気が土に入りません。ウリ科は、根から十分に空気を吸える土がかなり重要とされています。店頭でウリ科の苗を買えば、そのふわふわした根鉢の柔らかさが実感できます。
2)午前中の光合成が盛んな時間帯に、日当たりが少々悪く、生育が疎外されたと思われます。1号と2号苗が日陰を作ってしまっているのも一因にあると思います。
逆に西日がよく当たり、天気の良い日は、ただ暑く、人間も過ごしたくない場所です。西日が当たる方向に寒冷紗を張れば多少改善されるでしょう。
うどん粉病の発症
うどんこ病を避ける方法がいくつかありますが、今回は、元肥に窒素を入れすぎないように注意しました。追肥にも注意を払いました。
それでも、1~4号まですべての株で、株元の葉っぱで、うどんこ病は見られました。よって、窒素だけの問題ではないと言えそうです。
前回の人工授粉の回にも原因を推測しましたが、改めて思ったことは、
1)断続的な雨が一旦おさまり、朝から急激に晴れて「空気が」乾燥。土は湿っている
2)風通しが悪い
3)栄養不足
現在、3号苗でもっとも、うどん粉病が多く見られます。株元に近い大きくて古い葉4枚で発症。
1)乾燥について
1号および2号苗のときも、乾燥が気になりましたが、今回も急に晴れて気温が上がった後で、うどんこ病が勢いよく出ました。ちなみに、数日前から症状が出ていたので、突然湧いて出たわけではありません。
2)風通しについて
風除けと目隠しのための布を張っているので、株元付近の風通しがいいとは言えない状況です。やがて、つるが伸び、株元の葉が不要になるまで待つしかありません。土に近いことも、関係あるのかなと思います。
3)栄養について
栄養が不足して株が弱ると発症するという考え方。これは、病害虫発生の条件のひとつして植物全般に言えることです。1~4号苗で出たのも、株元の古い葉で数枚のみ(3号苗だけ4枚強)
それから、追肥との関連について。1号および2号苗に、固形肥8-8-8の追肥をして数日後に、うどん粉病が出ました。したがって、3号および4号苗では、株が40~50センチまで成長した時点で、1回目の追肥を与えるところ、何も与えませんでした。
ただし、液肥は7月から、月2回ペースで与える計画。実際、今月はまだ1回だけ、まもなく残り1回与える予定。液肥は、溶けずに直接根に届くので、速効性固形肥よりもさらに効きが早く、しかも与えたときだけ有効です。
鉢栽培なら月2回の液肥でも足りるかなと考えてましたが、株の生育が旺盛だとすれば、栄養が足りていないかもしれない。特に、うちの場合は、鉢栽培では普通扱わない、通常サイズのかぼちゃです。
うどんこ病が出ている以外は、葉色や葉のハリなどは健全で、栄養補給する必要があるかどうかのサインが他に見つけられないため、追肥のさじ加減が難しく感じます。
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解決策としては、1)毎朝の葉水を引き続き実施 2)3号苗のみ1回目の固形肥8-8-8を適量(1㎡あたり30g)与えます。4号苗は、しばらく与えず、様子見。
3号苗の土の平坦部分(うね肩部分は除く)0.075㎡あたり2.2g
なお、前回1㎡あたり40gとしていましたが、藤田智先生は30gとされているので、修正します。
着果状況
1号苗 1個着果!7/15ごろ受粉なら9/5ごろ収穫か
2号苗 1個着果か。7/15ごろ受粉なら9/5ごろ収穫か
3号苗 短日処理せず。開花自体まだ
4号苗 短日処理せず。現在、雄花のみ開花中
7月前半、せっせと人工授粉をしましたが、どうやら、ことごとく失敗。果房がしぼんでいきました。
授粉に失敗したと考えられる原因は、複数あります。
1)思ったほど、花粉がめしべに満遍なくつけられていない
2)雄花をはじめ、めしべや果房を8~9割方、タバコガに食害
3)朝9時ごろを過ぎると生殖能力が落ちるのにダメ元で授粉作業
4)背丈の上に咲いてからは、ノールック(!)で授粉作業。ついてない恐れ
5)雄花がひとつも咲いてない日あり、授粉作業自体できず
7月後半、ようやく、クマ蜂に、かぼちゃの場所を認識していただき、毎朝飛んできてくれるようになりました。現在、2個着果したのも、ハチのおかげと思います。ありがとう🐝
同時に、幸い、タバコガの食害も自然とピークを越えたように見受けられます。農薬は使っていません。
現在の株の様子を見る限り、1株1個以上は、着果しない方が良さそうです。株元の葉がだんだん老化で、黄色く枯れてきました。先端はまだ伸びそうなので、今後も、カボチャの実に栄養を送るための葉を20枚確保できるのではないかと。ただ、2個目は厳しいかもしれない。
また、今のところ、9月5日ごろが収穫予定日となっていますが、実は、このころ、すでにカボチャの樹勢が衰えて、収穫適期を過ぎているはずです。収穫の可否は、気温30度以上の高温が続きすぎないこと(植物の成長が止まるため)、日照が平均6時間ほど確保できるか(平年の9月平均では一気に下がる傾向)がポイントかなと思います。
2回目追肥
1号苗は、にぎりこぶし大まで成長したので、1㎡あたり30g固形肥8-8-8を与えます。
1号苗のうね肩部0.035㎡あたり1.3g
水は、うね肩に多くを与えているので、肥料もそこにまきます。
藤田智先生によると、このペースで2週に1度与えるようにとのこと。したがって、追肥日程は、7月20日、8月5日、8月20日とします。
今後の管理
着果の遮光
人工授粉か、ハチなどによる自然受粉に成功した果房は、明らかに大きくなっていきます。この果房を直射日光から守ります。日焼けだけなら見た目が悪い程度で済みますが、ひどい場合は、ひび割れして、そこから腐ります。果房が、かぼちゃの葉っぱなどで覆われていない場合は、新聞紙などで傘を作って、遮光します。
玉直し
着果から2週間ほど経ったら、カボチャの底が下を向くように、株を傷つけない程度に、やさしく仕立て直します。
うちの場合は、空中栽培なので、果実の重さに耐えられるよう、たまねぎなどの網や、排水溝用のネットなどと、麻ひもを組み合わせて、カボチャのハンモックを作り、つるに負担がかからないようにします。
薬剤
うどん粉病対策として、手元にあった薬剤「カリグリーン(住友化学園芸)」を葉っぱに吹きかけています。一度かけると、それ以上広がっていない、再発もあまりしていないようなので、効果ありと思います。
成分
・炭酸水素カリウム 80%
・界面活性剤等 20%
保証成分
・水溶性加里37%
また、商品パッケージの中に入っている注意書きによると、
「かぼちゃのうどんこ病に使用する場合、効果がやや低いので、多発生時には、散布感覚を短くし、十分な散布量を確保してください」
とのこと。希釈率は800倍を守って、症状が広がりそうな場合は、数日、連続して吹きかけています。発症後の株にのみ使用。展着剤の併用が推奨されていますが、うちでは使っていません。
カリグリーンは、初期症状に対してのみ有効です。界面活性剤も含まれてはいますが、主成分はカリであることから、農薬と言うより、肥料に近いような商品ではないかと思います。うどん粉病を数日間、見逃すなどして、葉の全体が粉をふいたような、重症の場合、葉っぱを物理的に切り取るしか方法はありません。切り取った葉っぱは、ビニール袋に隔離して廃棄します。使ったはさみは、しっかりと消毒する必要があります。
カリグリーン以外にも、食酢の希釈液を、水やり計画に基づいて、月に何度か与えています。
また、食用重曹やカキガラ石灰の希釈液(弱アルカリ性)も同様に試す価値はあります。うどんこ病に悩まされているなら、試してはいかがでしょうか。
また、うどん粉病以外の病気(=べと病)予防のため、土の跳ね返りを防ぐため、もみ殻をまいています。効果は十二分にあります。土の保湿もできて、一石二鳥です。鉢栽培なら、バークチップやヤシ殻ココチップなどでもいいかなと思います。
水やり
プランターに植え付けた直後は、毎日与えてました。植え付けた苗が成長しはじめた(=根が張った)のを確認してからは、(短かった)梅雨後も、2日に1回ペースにしました。
その後、猛暑日が続き、株も大きくなったことで、蒸散量が増えたこともあり、水やりはほぼ毎日に変更しました。鉢サイズがさほど大きくないことも関連していると思います。
その後、戻り梅雨で、雨や曇りがちの日が多くなり、土が乾いておらず、朝の時点で、葉っぱがお辞儀していなければ、水やりは次の日に持ち越しました。
水を与える位置ですが、できるだけ、株元から離れた場所に与えるようにします。うちの場合は、プランターの中に「うね」を作っている(一番最初の写真参照)ので、うねの肩から下にたっぷり与えています。ウリ科は、土が濡れた状態が続くと、根腐れにつながり、枯れてしまいます。
せん定
株が成長するにつれて、株元から、役目を終えた葉が、黄色く、あるいは茶色くしおれていきます。これらの葉は、晴れた朝に、清潔なはさみで切り落とします。咲き終えた雄花や、授粉作業が終わり、しおれた雌花も取り除いています。風通し確保と病気のリスクを回避します。
ウリ科に、はさみをいれることも、枯れにつながるリスクがあり、好きではないのですが、古い葉なら問題なさそうです。
ちなみに、つるの先端(成長点)は、うちは、ノータッチです。この作業を「摘心」と言って、脇芽を伸ばしたり、現在の枝葉や果実を充実させるために行うのですが、ウリ科でこれをやると、間違いなく枯れると思っているので、私はおこないません。