最終更新日 2022.08.21
枯れた、廃れた、見放された・・そんな悲しい植物を復活させる「再生シリーズ」です。
シリーズ第4弾は、シダ植物の「ミクロソリウム・グリーンフレーム」
「ミクロソリウム・グリーンフレーム」の再生状況と、今後の管理方法についてです。
前回までの再生作業
22年5月末に購入後、植え替え。全体的に、葉先が焼けていましたので、軽くハサミを入れました。また、株分けも行いました。その後、変化があまり見られない状態が続く中、1か月後に、ようやく一部の葉先で再生が確認できていました。
ミクロソリウム・グリーンフレームとは
中米原生。ウラボシ科ヌカボシクリハラン属。
葉っぱは、針金のような太い葉脈が1本、あるいはY字に伸びているのが特徴的で、全体的に意外と堅い。Y字の形状がビカクシダ(ウラボシ科ビカクシダ属)を思わせる雰囲気。ビカクシダに代表されるように、ウラボシ科は、土以外の、例えば、樹皮等に根を張る着生植物が多くを占める。その例外として、この「ミクロソリウム・グリーンフレーム」は、土に根を張って成長する。
抽水性のシダ植物(わかりやすく言うと稲、マコモ、菖蒲の仲間)にも関わらず、いつまでも根っこが濡れているのはよくないとの指南もあり。
現在の再生状況
ボリューム感が出た葉
暑い夏がやってきて、シダにとっては、まさにパラダイスな季節だと、勝手に思っているのですが、当初予想していた以上に、成長してくれました。
特に株分けした2鉢のうち、大株の方は、葉のボリュームが倍に増えた印象です。旧葉も割と残っています。
一方、小株の方は、旧葉がほとんど枯れて、新葉に入れ替わろうとしている状態です。同じ植物でも、2鉢でボリュームに大差がついていますが、恐らく、元々の「地下茎」のサイズが違うんだろうと思います。地下茎のしっかり太く大きなものの方が、育ちもよいはず。
ホムセンの室内で長らく育てられたものは、葉色が濃く、葉面に照り感があり、一枚一枚が細長かったんだなと、今、写真を見るとそう思えてきます。どちらかと言えば、いかにも鑑賞用として育てられた、エレガントな印象を受けました。同時に、フェイクプラントのようでもあり、生命力があまり感じられず、この先、枯れるかもしれない心配もありました。
今夏、新たに出てきた葉っぱは、屋外の半日陰で育てていたにも関わらず、意外と葉色は薄く、葉の面積もかなり広い印象。野性的にのびのび育っているようにも見えます。
写真だけ見れば、新葉が「チシャ」にも見えなくもなく、焼肉をまいて食べるとおいしそうな感じも受けますw
ビカクシダのような、Y字の葉の美しさは、いずこへ。。それとも最終的には、Y字型の葉に落ち着くんでしょうか。
旺盛な新芽
大株、小株にかかわらず、まだまだ新芽が下でスタンバイしていて、かなり生育は旺盛なようです。
枯れ葉の除去結果
植え替え直後から半月後あたりまでは、株の生育を促す目的も込めて、枯れた部分に、ハサミを入れて、葉の再生を試みていました。
結果として、ハサミを入れたことは、特に問題なかったように感じます。ページ最上段の写真で再生したことを紹介した葉は、写真のとおり、2か月後には、枯れてしまいました。原因は不明。一方、別の旧葉では、葉の縁から数ミリほど、ひだのように新しい組織が再生したようです。
はさみを入れた葉にも、写真のように、枯れるもの(左)と、枯れずに残っているもの(右)もあります。ハサミを入れたからと言って、必ずしも再生するわけではないことも分かりました。
枯れの兆候の判断と考え得る対策
枯れるかどうかの運命の分かれ目のひとつに、葉脈の健全さにあるのではと見ています。葉脈は、人間で言えば、血管です。水や栄養を運ぶ管が詰まったり、古くなってしまえば、それ以上、改善は見込めない。それがこのシダ植物の中でも起こっているように想像します。ただ、うまく再生できたものと、そうでないものの差がなんであるのかは、不明です。
他の植物に比べて、具合の良し悪しをすぐに見つけにくいシダ植物において、それを見分けるひとつの方法として、私が注目するのは、葉脈の色。黒っぽいかそうでないか、です。
改めて、植え替え後の、大株の様子をご覧ください。
葉のセンターを走っている太い葉脈は、黒っぽいことが確認できます。
現在の、大株を同じアングルで、およそ2か月後に撮影したものです。
生き残った旧葉の葉脈が、黒から、すっかり白っぽく変化しているのがお分かりいただけるでしょうか。一方、枯れた旧葉の葉脈は黒っぽいままです。
これは、今になって気づいたことなので、徐々に色が薄れていったのか、何かしらの栄養分を与えた結果として変化したのか等、その過程を観察することはできませんでした。ただ、この葉脈が白っぽくなったことが、葉の成育や再生につながっていることは、ひとつ言えるのではないかなと考えています。
推測ですが、半日陰に出したことによる、光合成の活発化や、硫酸マグネシウム水溶液を与えたことによる、マグネシウム不足の解消が、要因のひとつかもしれません。
硫酸マグネシウムのようなマグネシウムに特化した資材をお持ちの方はほとんどいらっしゃらないと思いますので、市販の液肥や固形肥にマグネシウム(苦土)を含有しているものを積極的に選ぶようにし、日常的に与えることをおすすめします。マグネシウムは控えめに記載されていることがほとんどなので、商品の裏書をよくみましょう。
今後の管理
水やりと肥料
水やり計画に基づいて、今後も行います。
水やりというより、葉っぱに対して水を与えた結果、土に水が流れ込むような恰好になっています。
ミクロソリウム・グリーンフレームは、水に浸かったまま生育する「抽水性植物」に分類されながら、土は過湿にならないようにとのことで、管理はそのようにしているつもりでした。最近、その辺が少しいい加減になって、葉水に霧吹きを使わず、じょうろのシャワーヘッドで、毎朝、葉水を与えています。結果的に、土が少々過湿気味になっている気がします。できるだけ土に水がかからないようにし、適度に乾いた状態にします。
肥料は、固形肥ではなく、液肥のみとしており、月1回、ばらの液体肥料(住友化学園芸)を1600倍で与えるようにしています。その他、硫酸マグネシウム水溶液を月1回。これらは9月いっぱいまで。その後は、休眠期に備えて、水やりも徐々に控えめにしていきます。
うちでは、暑い夏の期間、乾燥対策として、毎朝、水を与えない日程でも、霧吹きによる葉水を、ほぼすべての植物に、与えるようにしています。その葉水には、ほとんどの場合、食酢が500倍希釈で入っています。当初、シダの再生に悪影響があるかもしれないと、避けていましたが、現時点では、周りの植物に与えたついでに、シダにも降りかかっています。
病害虫対策
シダ植物での病害虫の被害は、あまり見られないかと思いますので、特に対策はしていません。枯れた葉からウィルスをもらうことはあり得るかもしれません。今のところ、株元から自然と抜け落ちたものを取り除く程度にしており、特に切り取るような作業はしていません。
せん定
葉がかなり茂ってきていますが、今のところ、せん定の予定はありません。
日当たり
屋外で、他の植物の、鉢の日陰に設置。風通しもいいように管理しています。屋内移動のタイミングは、熱帯のアボカドなどと同じく、10度を下回るころですが、それは12月ごろでしょうか。まだ当面、屋外で管理して、光合成を促していきます。