最終更新日 2022.05.26
オリーブが開花しはじめました。期間はたった数日のみ。花後、5月末までの適期内に、植え替えを完了させます。
その植え替え前に、オリーブの樹や土の状態を観察しました。
古株2品種
うちでは5品種育てているうち、2019年ごろに購入したのが「ルッカ」と「ネバディロブロンコ」。まだまだ若いですが、幼苗と区別するため、ここでは”古株”としています。
昨年あたりから、花もつけはじめ、株も健康です。
ルッカ Lucca

原生 イタリア
樹形 扇型、現樹高70cm 幅100cm
鉢幅 8号24cm 高26cm
酸度 pH7.0
土色 石灰の白、苔の緑
土質 かなり堅く、水がたまる→苔の発生。原因は石灰過剰
食害 ハマキ虫・カタツムリ。ねじれなど変形した葉もある
黄化 黄色い葉3枚
花 枝水平箇所につぼみ2つ。他は基本上向き
特徴 自家結実性あり。過剰な剪定は成長優先で結実しない

枝先剪定するぐらいなら、恐らく問題ないと思いますが、太い枝を強剪定しすぎると、栄養成長優先になり、生殖成長しないようです。つまり結実しません。ビオレソリエスに通ずる部分がありますね。



ネバディロブロンコ Nevadillo blanco

原生 スペイン
樹形 自由系扇型、現樹高70cm 幅90cm
鉢幅 7号21cm 高22cm
酸度 pH7.0
土色 石灰の白
土質 堅い
食害 ごく一部、虫食いあり。全体的に健全
黄化 なし
花 品種特性どおり大量のつぼみ。横枝が多いことも関連?
特徴 ルッカの花粉をもらうと結実しない。一方のルッカは結実する




追記)ハチが忙しそうに跳んできて、花粉を運んでいきます。我が家のお向かいにも、4本のオリーブを植えられていて、そちらも現在満開。各品種は不明ですが、ハチが飛び交っていますので、相乗効果が期待できます😊v
ただ、ルッカの花粉がネバディロブロンコにつくと、ネバディロブロンコには実がつかないので、どれぐらいの率で受粉してくれそうかな、というところ。
幼苗3品種
苗を買って帰ると、設置環境が大きく変わることで、思わぬ症状が出ることがあります。うちの幼苗3種は、特に葉先焼けが顕著で、かなり手を焼きました。
気になる葉焼け症状と対処歴
21年5月 幼苗購入。青々として元気
21年6月 レッチーノ、エルグレコ葉先焼けが出る
・・・・・レッチーノ成長みられず
・・・・・エルグレコ新芽新枝が出ているが、一部葉先焼け
21年7月 ミッション、葉先焼けが出る
・・・・・カキガラ石灰。液肥(ハイポネックス)始める
21年8月 幼苗に緩効性肥料(10-10-10-1.5)
・・・・・ネバディロブロンコ以外の枝先をピンチ。分枝が進む
21年10月 エルグレコでハマキムシが若葉を食害
・・・・・エルグレコの葉先焼け再発。全株、カキガラ石灰投入
21年11月 休眠前、BM溶リン、即効性化成肥(8-8-8)
・・・・・日当たり求めて、幼苗のみ2Fへ移動。休眠中も屋外
22年3月 休眠明け、定期置き肥として緩効性肥料(10-10-10-1.5)
22年4月 若葉が出て、全株の葉の入れ替わり進む
石灰は、主に酸度調整が目的だったと思います。カルシウムを与える意図も多少なりあったと思います。カルシウムは、オリーブが好む要素のひとつだからです。ただ、現在はっきり言えるのは、石灰でカルシウムは補給できません。石灰の裏書を見てもカルシウムは保証されていないはずです。
また、昨秋「微量元素が足りないのでは」と考えて、BM溶リンに注目したのは、いい判断だったと、今は思います。果樹であることを考えれば、リン酸の補給はムダではないでしょう。さらに、この肥料には銅が含まれています。銅は葉先焼けの症状改善に有効とされています。しかも、酸度調整機能まである優秀な肥料なんですね。
ちなみに、うちで常用している「ハイポネックス」は、NPKほか、マグネシウム、マンガン、ホウ素を含んでいますが、カルシウムや銅は含まれていません。同社製品の活力剤「リキダス」や、オリーブに特化した置き肥「錠剤肥料シリーズオリーブ用」には、カルシウムと微量元素を保証しています(リキダスは銅の含有を明記)
レッチーノ Leccino

原生 イタリア
購入 2021年
樹形 丸型、現樹高35cm 幅35cm
鉢幅 6号18cm 高16cm
酸度 pH5.5-6.5 弱酸性寄り
土色 黒
土質 柔らかい
食害 なし
黄化 葉先焼け5枚、葉の真ん中は黄化。うち1枚だけ葉全体の黄化あり
花 なし


エルグレコ

原生 ギリシア
購入 2021年
樹形 ろうそく型、現樹高55cm 幅45cm
鉢幅 6号18cm 高16cm
酸度 pH6.5-7.0
土色 白
土質 堅い
食害 昨夏ハマキムシがかなり発生。現在は被害無し
黄化 葉先焼け18枚、症状は特定の枝の古葉に集中。主幹から出た古葉にも。
花 なし


ミッション

原生 スペイン系アメリカ
購入 2021年
樹形 ろうそく型(うちは扇形)、現樹高30cm 幅45cm
鉢幅 8号24cm、高26cm
酸度 pH6.2-7.0
土色 黒、一部黄味がかり
土質 ph6.7までは柔らかい、7.0が出た箇所は堅い
食害 なし
黄化 葉先焼け29枚、枝の古い下葉に多い。ただし一か所新葉の真ん中に葉焼けあり
花 なし



栽培の課題
今は、葉先焼けの発生が一番の課題です。その原因を探っていきます。
土の酸度
レッチーノは、完全に弱酸性の土壌ですが、葉先焼けの発生率としては低い。
逆にミッションとエルグレコは、弱酸性から中性付近のアルカリ寄りと言える土で、葉先焼けの率が高くなっています。
一方、古株の酸度は、pH7.0の、ほぼ中性を指していますが、症状は一切出ていません。
したがって、土壌酸度と葉先焼けの間に、相関はあまりないのかなという結論です。
根の生育不良
まもなく行う植え替えで判明するかもしれませんが、何らかの要因で、傷んでいる、あるいは伸び悩んでいる恐れはあります。
まず、オリーブの土は、オリジナルで配合したので、野菜用培養土のように元肥えが入っているようなことはありません。ただ、勘違いして自ら元肥えを入れてしまっていたなら、幼苗に対して肥料が過剰になったかもしれません。
また、土が締まりすぎて通気性が悪く、根が伸び悩んでいるかもしれません。酸素はオリーブが求める要素のひとつです。葉先焼けを起こしてから、石灰を次々に投入しはじめたので、石灰で土が締まったとは考えにくいです。
なお、オリジナルの土の配合は以下のとおり。
赤玉土 30%
川砂 30%
バークたい肥 30%
もみ殻くん炭 10%
カキガラ石灰 酸度みて適量
幼苗の根っこの状態については、5月末ごろにレポートできればと思っています。
栄養不足
逆に栄養不足も考えられます。
21年は、石灰不足と考えて、積極的に与えていました。これは、石灰投与後、古株が復調したように見えたことがあった経験からです。
ただ、この対処方法では、大して改善は見られませんでした。
その後、今春になって若葉が出てきました。この時点では、正常な葉色をしています。
今現在、言えることは、石灰でカルシウムを補給することはできないということです。カルシウムは、オリーブが求める栄養素のひとつとされています。これを解決するため、今春から液体カルシウムでの補給を開始しました。液体化したカルシウムは、植物にとって吸収しやすい形状とのこと。
カルシウム資材については後日詳報します。
また、葉先焼けのひとつの要因として、銅不足を疑っています。銅の摂取方法としては、微量元素を与えることです。一般的な化成肥料には含まれていません。肥料商品の裏書などをよく見ると、微量元素も含む商品が、意外と少なくありません。わたしは、昨秋、「BM溶リン」に含まれている微量元素に注目して、オリーブに与えてみました。
これらが功を奏しているのか、今のところ、オリーブは全体的に、調子が良さそうです。植物が体力を消耗する初夏以降、また同じ症状が出ないか、それが問題です。これら三大栄養素以外の栄養分も、定期的に、適量を与えていきます。
病害虫(一部写真あり)
テッポウムシ(カミキリムシ)やアナアキゾウムシが有名ですが、うちでは、まだ見られません。幹の太さは関係なく被害が出ているようなので、日頃からの観察は必要です。
ハマキムシ

体長1cm超の、割とオオモノの毛虫でしたが、葉に食害があるのに、時間をかけて探しても、なかなか見つけられませんでした。葉っぱにばかり気を取られていましたが、こちらはオリーブの花の蕾をかなり食べていました。

通常は、枝先の「柔らかい葉」にひそんでいる確率が高いかと思います。
日光が苦手のようで、葉ウラに隠れたがります。葉の表面が削りとられて、半透明になっているか、葉がねじれて変形していれば、その付近にいる可能性は大きい。葉がクモの糸でぐるぐる巻いていれば、その中で休んでいることも。こちらは体長1mmほど。晴天下で、植物と同系色の、極小なイモ虫を見つけるのは骨が折れます。
軽い衝撃を加えると、クモの糸を垂らして、下の枝葉へ素早く逃げようとします。
箸でつまむなどして捕殺するか、殺虫剤、例えば、ベニカXファインスプレーも効果ありました。ちなみに青ラベル(=MyROSESシリーズ「ばらの病気と害虫に」)も、赤ラベル(=GARDEN Dr.「病気&虫」)も、中身は同じです。
カイガラムシ


数ミリ程の白い綿毛のような虫か卵のようなものが、いくつも連なるように、毎年恒例で、オリーブの枝についています。似たようなサイズ・白色でも、私が知るコナジラミの形状ではありませんでした。
現在、愛用の薬剤が、ベニカXファインスプレーの一択なので、噴霧してみました。すると、勢いよく周囲に跳び、偶然わたしの顔にも当たって、こっちがびっくり。。
生命力も強いようで、全滅できたとは思えませんが、いくつかは薬剤で仕留めたようです。その後、見かけません。
カイガラムシは、写真検索しても分かりますが、膨大な種類が存在するようで、白くて見たことのない形状を発見したら、虫に見えなくても、まず疑ってみてください。
被害内容は、カメムシと同様、吸汁して、植物を弱らせます。また、その糞尿が植物にかかると、黒カビが発生して、該当箇所が黒くなります。葉面が黒くなると、光合成ができなくなります。
対策としては、カイガラムシエアゾールがベストかなと考えてます。
ジャンプしないタイプのカイガラムシの場合、削り取るべきではないと思います。削り取られた残骸が、手や衣服に着いてしまうと、屋内外問わず、別の植物に自ら寄生させてしまう恐れがあります。
また「暗く」「空気が流れない」「ホコリのたまった」場所に寄生しやすいとのこと。そういう場所に植物を置かない、環境をつくらないことも対策になります。
カタツムリ
夜行性のようなので、食害を直接確認できません。ただ、食事を済ませた後は、その植物の葉っぱに張りついて、昼寝して夜になるのを待っているのを見かけます。よって、オリーブもほぼ確実に、食害を被っていると思います。
被害内容は、葉のフチを、葉先から根本にかけて、削りとるように食べるはずです。
対策としては、草むら、湿気た場所の近くや、地べたに鉢を置かない。これで、被害を抑えることができます。忌避剤を「点々と」設置しても、忌避剤を上手に避けて移動するので、効果は薄い。粘膜を出しながら、忌避剤を直接乗り越えることもできます。
新葉のねじれ
春になると、枝先の若葉が、ねじれているのをよく見かけます。以前は、要因を病気だと恐れて、とりあえず、切り落としていました。
現在は「葉芽の急激な成長期に、害虫による食害を受けた結果、ねじれた」と推測。その根拠としては、昨春も同じ事象が見られましたが、過去1年、特に薬剤散布をしていませんし、被害が広がった形跡もありません。
ちなみに、変形または食害された葉は、今後の変化を見逃さないためにも、取り除いた方がいいと思います。